見た目“路面電車”ですよコレ!

SRTのデザインイメージ固まる

 名古屋市は2024年2月28日、導入を検討している新たな路面公共交通システム「SRT」について、5日に開催された第4回トータルデザイン懇談会の内容をwebサイトで公表しました。車両などのデザイン案が明らかになっています。

 SRT(Smart Roadway Transit:路面公共交通システム)は、名古屋市が名古屋駅ー栄などの市街地区間で導入を計画している、連節バスとLRT(次世代路面電車)の特徴を兼ね備えた交通機関。高い輸送力と低床構造によるバリアフリー性を特徴として打ち出しています。

 今回、具体的な車両イメージ案が公表されましたが、その姿はまさに「路面電車」に近いようです。前輪の1軸こそタイヤがむき出しですが、後方の2軸はタイヤがボディに隠れる形となっており、見た目からも床が低いと分かるデザインで、「既存の公共交通とは異なる新しい路面交通であることを訴求する」というアイデンティティが表現されています。

 また、その車体は“ほぼガラス”と言っていいほど、窓の面積が大きくとられています。これは、「車体に映し込まれる風景や光の『移ろい』によって、風景を引き立てる」コンセプトを反映したものと考えられます。さらには夜景の魅力を高めるため、路面の演出照明などの検討も行うとされています。

 車内は、「歩道側に面したカウンター席」や「車窓に囲まれたベンチ席」といった、従来のバスにはない座席レイアウトも検討するとされています。乗降場のデザイン案には透明の屋根が設けられるイメージが示されているほか、「SRTルートを明示するため、舗装グラフィック等によるアイデンティティの表現を検討する」とも明記されています。

 なお、これまでの懇談会で、運行予定事業者は名鉄バスに、連節バス1両の落札者は三菱ふそうに決まっています。三菱ふそうは現状で国産の連節バスを製造しておらず、メルセデス・ベンツの「シターロG」を取り扱っているため、これが車両のベースになる可能性があります。

 今後は、2024年夏頃にデザインを決定し、下半期には車体の二次架装、乗降待合空間の整備などが行われる予定。2025年度には、名古屋駅ー栄の「東西ルート」から運行を開始する予定です。

※誤字を修正しました(2/29 10:00)