山陰地方に伝わる固有の柴犬「山陰柴犬」の魅力を知ってもらおうと、鳥取県湯梨浜町で2日、鑑賞会が開かれました。貴重な血統を受け継ぐ約50匹が県の内外から集まり、訪れた人たちに愛嬌を振りまきました。

凛々しく、愛らしい姿の山陰柴犬。おとなしく、小さいながらも忍耐強く、飼い主に忠実なのが特徴です。鳥取県湯梨浜町で2日に開かれた鑑賞会では、県内をはじめ神奈川県や福岡県などからも約200人が参加、約50匹の山陰柴犬が勢揃いしました。
一時は血統が絶える危機に瀕した山陰柴犬の保護と育成に取り組む「山陰柴犬育成会」が、新たな飼い主を増やそうと、年2回鑑賞会を開いています。

神奈川県からの参加者:
サンライズ出雲に乗って米子まで来まして、レンタカーを借りてここまでやって来ました。周りに飼っている方がほとんどいないので、このバッグをお出かけの時に持ってアピールしています。

鳥取県・平井知事:
見れば見るほど、飼ってみれば飼っているほど、「シバれる」(しびれる)ほどかわいらしい柴犬でございます。

鳥取県の平井知事もそのかわいらしさに目を細める山陰柴犬。日本に稲作を伝えた人々とともに朝鮮半島から渡ってきた犬が祖先といわれ、山陰地方だけに伝わる貴重な固有種です。昭和の初めごろ、山陰地方固有の「地犬」の保護活動が本格的に始まり、戦後の1947年に鳥取県東部の「因幡犬」、島根県西部の「石州犬」をかけ合わせて現在の山陰柴犬のルーツが誕生。その後、伝染病などで絶滅が心配されるほどにまで数が減りましたが、2003年に結成された「山陰柴犬育成会」が新たな飼い主を増やすなど育成に取り組み、現在は約530匹が飼育されています。

平井知事:
是非大切にして、世の中にその価値をもっともっと広げて行ければと思います。

平井知事の妻・りえさん:
私の子どもみたいに馴染んでくれて、とてもかわいい。犬は大好きで、是非連れて帰りたい。

会場では、飼い主同士も交流しました。

飼い主:
うちの「キナコ」の子どもです。キナコにそっくり。うれしいですね、こんなに人懐っこく、大きく立派になって。

久しぶりの親子再会を喜びました。

一方、「兄妹」の再会もありました。かわいすぎる“奇跡の一枚”として、SNSでも話題になった2匹が今回予期せぬ再会を果たしました。まさに“奇跡の再会”です。お兄ちゃんの「コマツ」は今、大山町の飼い主のもとで暮らしています。

兄・コマツの飼い主:
うちに来ることが決まっていて、その数日前にあの写真が撮れた。びっくりした。

一方、妹の「しずく」は岡山県総社市で暮らしています。名前は「ぽち」に変わりましたが、あの愛らしさは変わっていません。

妹・しずく改めぽちの飼い主:
私の方も同じ、「奇跡の一枚のワンちゃんです」と聞いた。何回かここに来ているが、会えると思っていなかったのでびっくりしました。

兄・コマツの飼い主:
犬を飼うこと自体が初めてだった。上手にしつけられているとは全然思えないが、ちゃんと賢くて、番犬をしてくれたり、あまり吠えないし、この間は、山の中に住んでいるので、台所にアナグマが侵入してきたが、コマツが戦って撃退してくれました。

“奇跡の一枚”から4年が経ち、2匹とも大きく成長。「しずく」改め「ぽち」は、4匹の母親になっていました。

山陰柴犬育成会・尾崎哲会長:
絶滅しかけた山陰柴犬を何とかここまで回復できたのが一番の喜びです。犬をかわいがってくれれば必ず心を開きますから、そういう方を育成会の会員として増やしていきたいと思っています。