原発事故ですべての窯元が避難を余儀なくされた、福島県浪江町の「大堀相馬焼」。いわき市に「登り窯」を復活させ、制作活動を続ける窯元が作品の「窯出し」を行いました。

復活した伝統の「登り窯」から「大堀相馬焼」の作品が次々と運び出されます。

大堀相馬焼 陶吉郎窯窯元・近藤学さん「毎回なんだけど、いいものと悪いものが混在している。新たな挑戦で焼いたものもあるので、まぁまぁかな」

作品が生み出されたのは、いわき市四倉町で6年前に再開した「陶吉郎窯」です。

4月22日、「登り窯」に薪を入れる窯元の近藤学さん。1000℃を超える窯の中には、この日のために作ったおよそ700点の作品が入っています。

近藤さん「こういう自然の薪でもって炎の力で焼き物を焼いていく。原点だよね」

近藤さんは、窯の温度計を見つめながら、薪を入れる本数やタイミングを計ります。水分補給をしながら熱さと戦い、息子の賢さんと交代しながら24時間窯と向き合う過酷な作業が1週間ほど続きました。

そして、迎えた2日、登り窯ならではの新たな作品が誕生しました。これは、今年、浪江町で13年ぶりに制作され、登り窯で焼かれたフリーカップです。

近藤さん「場所で火の加減や温度とか薪の灰のかかり具合で違うんです。こういうものなんですよ、薪窯は」

陶吉郎窯は、避難指示が解除されたふるさと浪江町の窯元でも今年、制作活動を再開していて、作品の一部は、6月にグランドオープンする予定の新しい展示場でも披露されることになっています。