早朝の住宅街に緊張が走りました。東京・渋谷区で突っ込んできた車に警察官が発砲しました。逮捕されたのは21歳の男。現場で何があったのでしょうか。

■渋谷区で発砲“発生直後の様子”

 逮捕された際の様子を捉えた写真。何が起きていたのかが分かってきました。

 19日朝、渋谷区で突っ込んできた車に警察官が発砲しました。その後、車は逃走しましたが、すぐに見つかり、車に乗っていた男は現行犯逮捕されました。

 発砲された際、太ももをけがしたためか足を引きずる男。公務執行妨害の疑いで逮捕された田中陸容疑者です。

近隣住民
「撃たれた撃たれないというから何が起きたのかと。警察官が発砲したと警察官から聞いた」

 事件が起きたのは午前7時ごろ。現場は初台駅と幡ケ谷駅の間にある住宅街です。

110番通報
「けんか、口論している」

 午前7時ごろ、通報を受けた警察官が現場に駆け付けたところ、田中容疑者の運転する車が警察官に突っ込んできました。警察官は女性が乗っていた助手席側の窓から1発、発砲したということです。

近隣住民
「とにかくものすごいスピードで、ここを突っ切っていった」

 近隣住民によりますと、車は北方向に逃走したということです。約30分後に車が見つかったのは西へ1キロほど行った幡ケ谷駅近くです。

 逮捕された際の写真があります。午前7時14分、男が座り込み、かたわらで女性が警察官と話をしています。その13分後、警察官に体をつかまれて男が嫌がるそぶりを見せています。

逮捕現場を見た人
「警察官が来て女性はこの辺に座って泣きながら話していた」
「反抗的な行為はないけど、大きな声でけんかしてる様子だった。見た目は普通の社会人」
「花壇のところにカップルというか、男性と女性が座っていた。自転車の警察官が来て、『誰が運転していた?』と急に話が始まった。あっという間に大勢の警察官が来て、手錠をしている姿も見えたし、女性は女性警察官に話を聞かれた。救急車が来て『ストレッチャーに乗れ』と言ったら、男の人が暴れだして『触るな、痛い』と警察官と言い争いしていた」
「『傷口見せてみろ』と声が聞こえたら、ジャージみたいなものを着ていた、男の人が。ズボン下した瞬間、この辺に10センチくらい真っ赤な傷があった」

 逮捕された職業不詳の田中容疑者は現場近くに家族と住んでいました。

 近所の人によりますと、田中容疑者は母親ときょうだいと暮らしていて、すれ違えばあいさつをするような普通の人だったといいます。

 田中容疑者は助手席に乗っていた女性と、さらに2人の女性含めて4人でけんかをしていたということです。今のところ飲酒や薬物は確認されていません。

■警察官の発砲 条件は?

元埼玉県警 捜査1課 佐々木成三氏
「(拳銃使用は)ハードル高い。拳銃を使って人に危害を与える場合は厳格な要件のもと使わなければいけないというのは間違いない」

 今回のケース、30代の警察官は2度「止まれ」と警告しましたが車が突っ込んできたため発砲しました。

 現場は住宅街。問題はなかったのでしょうか。

元埼玉県警 捜査1課 佐々木成三氏
「警察官に向かってきているとなると公務執行に対する抵抗の抑止にもなるので、武器の使用は僕は認められると思う。車が警察官自身に向かってきたとなると、これは正当防衛緊急避難に該当」