◆今回、行政処分を受けたのは、全国104カ所で障害者向けのグループホームを運営する『恵』。事業所の定員は、合わせて約1800人です。

愛知県と名古屋市は、県内の27の事業所のうち、5つの事業所に“事業者指定取消”の行政処分を行いました。早ければ、今年8月31日、遅くても12月1日までに指定が取り消されます。

この処分を行う理由としては、入所者から食材料費を過大に徴収、勤務実態のない職員が働いているように装い、障害福祉サービス報酬を不正に請求したこと。食材料費に関しては、愛知県と名古屋市が管理する18の事業所で、合わせて約1億7000万円が過大徴収されました。また、不正請求に関しては、合わせて約3億円が請求されました。

食材料費の過大徴収に関しては、実は、全国的に行われていました。厚生労働省によりますと、104カ所の事業所のうち、10の都と県の77カ所で、合わせて約3億円が入所者から過大に徴収されていました。

“指定取消”を受けると、今後、どうなるのでしょうか。

厚労省によりますと、指定取消=事業停止ではなく、給付がなくなることだといいます。給付がなくなると、経営が厳しくなるので、“事実上”廃業となる場合が多いといいます。そして、今回は、組織性が高いとして、いわゆる“連座制“を適用する方針です。

愛知・名古屋の5つの事業所は、遅くとも年内には指定取消になりますが、いわゆる連座制が適用されれば、ほかの事業所に関しては、指定取消の処分日から、5年間は指定の更新はできないとしています。

今後について、各自治体に聞きました。

千葉県は「すぐに事業停止、入所者の転居が必要な施設はない。指定取消になる場合は、それまでに入所者側と事業者側でどうするかを話し合う」としています。

茨城県は「すぐに事業停止にはならないが、利用者が継続してサービスを受けられるよう、関係自治体と課題を共有する」としています。

愛知県は、事業所が指定取消になった後のことについて、入所者の意向を丁寧に把握して、必要なサービスに適切につなげるよう各市町村に要請、県が市町村にアドバイザーを派遣し、転居先などの調整をバックアップ、障害の程度が重く、転居先がない入所者は、県の施設での受け入れを検討するとしています。