全米の大学で行われてきたイスラエルへの抗議デモについて、バイデン大統領は理解を示しつつも、キャンパスの占拠といった行為を強く非難しました。大統領選を半年後に控え、どんな判断があったのでしょうか。

■『反戦デモ』大統領選への影響は…

コロンビア大学ジャーナリズム大学院 ジャスミン・ジワさん
「怖くはありません。歴史的瞬間を目撃していると感じています。ここで起きている事を取材し、体験できることを幸運に思います」

アメリカの学生たちがパレスチナへの連帯を示し、行ってきた抗議活動。拘束された学生らは全米で2000人以上になりました。テントが撤去されるなど徐々に収まりを見せてきています。

バイデン大統領は、このタイミングで演説を行いました。

バイデン大統領
「この国は国民を黙らせたり、反対意見を封じたりする権威主義国家ではありません。平和的な抗議はアメリカ人の最も伝統的な手段です。ただし、アメリカは無法国家ではありません。不法侵入や窓ガラスの破壊、キャンパスの封鎖、授業や卒業式の妨害は平和的ではありません。抗議の権利はあっても、混沌を生む権利はないのです」

抗議活動そのものには理解を示しつつ、キャンパスの占拠といった手段は強く非難した形です。

この問題は、大統領選にも波及しかねない状態が続いています。

トランプ前大統領
「彼らはこの国を乗っ取ろうとしている。極左の馬鹿どもに、この国を乗っ取らせることはしない」

共和党の中には「学生たちはハマス支持者だから州兵を派遣すべき」という極端な意見まで出ています。一方で、民主党会派に所属する左派の重鎮からは…。

民主党会派 サンダース上院議員
「これはバイデン大統領の“ベトナム”になりかねません。バイデン大統領は若者だけでなく、民主党支持層まで遠ざけてしまったのではないか。非常に心配しています」

1960年代に全米で起きたベトナム反戦運動。当時のジョンソン大統領は民主党員の支持を失い、大統領選への再出馬を見送る事態となりました。サンダース上院議員の発言は、学生たちの声に耳を傾けないと大統領選で勝てないという懸念です。

バイデン大統領
「(Q.学生デモによって中東政策は見直すのか)ノー。(Q.州兵は介入すべきか)ノー」

■ガザ重視の若者を切り捨て?

若い層からバイデン政権の中東政策は支持されていません。一方で、学生たちの抗議活動に対して、直近の世論調査では支持するが28%に対し、反対は47%となっています。治安の安定を第一に考える中間層の支持は得られる、そう判断したとみられます。

ジョージタウン大学 ナディア・ブラウン教授
「大統領は若者の納得できる政策を打ち出してきました。気候変動や学生ローンの免除などです。一方で、ガザの現状を重視する若者は説得できていない。バイデン政権は彼らを切り捨てようとしているのでは」

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