日本を訪れる外国人たちを空港で勝手に出迎え、アポなしインタビュー! そのまま密着取材を行う「YOUは何しに日本へ?」(月曜夜6時25分〜)。今回のテーマは、「YOUの濃い〜コイ物語SP」。溢れる思いを抑えきれないYOUたちの、いろんなコイの物語が楽しめる95分で、はたしてどんな面白YOUに出会えるのか?

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羽田空港で声をかけたのは、シアトル(アメリカ合衆国)から3週間の予定で来日したシンディさん(58歳・馬のブリーダー)とケイシーさん(33歳・母の手伝い)親子。「地元の日本庭園で錦鯉を見て心を奪われちゃって。日本産の錦鯉を買うのが夢だったの」という、大の鯉好きだ。自宅の庭に池を作り、100匹以上の錦鯉を飼うほどハマっているそうだが、ほとんどがシアトル産で、日本産に比べると質が下がるとのこと。「大きくて美しい昭和(品種)の錦鯉が欲しいの」と、狙いは一択のようだ。
「昭和」をよく知らないスタッフたちは、シンディさんから「なんで日本にいるのに、ちゃんと錦鯉を見ていないのよ!」と、お叱りを受けてしまった。

【…というわけで、昭和とは?】
正式名称は「昭和三色」。昭和初期に新潟県小千谷市で改良された、赤・白・黒の品種の鯉で、特に美しいといわれる錦鯉御三家の1種だ。値が付くのは、稚魚5万匹からわずか1匹の確率という、最も困難な品種である。

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「今回は最低でも『昭和』を6匹は買いたいわ。予算は上限ナシよ!なんてね、アハハハ(爆笑)」と、シンディさんは爆笑するが、質のいいものは、1匹なんと150万円もするという。それが6匹ってことは、もはや1000万円レベル…。価格にドン引きしていると、「アナタ一緒に来なさい。美しい錦鯉を見ないとダメよ」と命じられ、密着決定!

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おまけに、ケイシーさんの彼女探しの依頼まで(笑)!
2週間後に秋葉原で再会すると、さっそく新潟県小千谷市へ(9月中旬に取材)。小千谷市は、高品質の「昭和」を扱う業者が多いという。というのも、小千谷市にはこんな歴史が。

【小千谷市の歴史】
今から200年前、小千谷市では田んぼで食用の鯉を飼い、貴重なタンパク源にしていたそう。するとある日、農民が黒い鯉の中に赤い鯉(突然変異)を発見。そして翌年には、黒と赤の自然な交配から紅白の稚魚が誕生。娯楽のなかった農民の楽しみとして、それから鯉の交配が大流行し、芸術的な錦鯉を産み出す技術がこの地に根づいていった…ということだ(※諸説あり)。

今では約50の業者が、最高品質の錦鯉を生産。11月の品評会には、世界中からファンが訪れるという。記事画像
いよいよ、目的地だった「伊佐養鯉場(ようりじょう)」に到着。2代目社長の伊佐光徳さんが現れると、立派な「昭和」が欲しいと伝えるシンディさん。しかし、社長の返答は「直接取引やってないんです、必ずバイヤー通してやってまして。輸出の問題などもありますから」。バイヤーなしには買えないと知った親子は、絶句。「ちゃんと調べてこないとダメだったわ…」「でも来ちゃったんだからどうにかしないと」と、小声で密談するばかりであった。

社長から事情を聞かれたシンディさんは、「何回も何回も日本産の『昭和』が欲しいと思って探していますが、まったく手に入りません。だから日本で『昭和』を買うのが私の夢だったんです」と訴え続ける。なんとかシアトルに輸出できるバイヤーを紹介してほしいと懇願すると、熱意が伝わったようで、探してもらえることになった。心当たりに連絡してもらい、3回目の電話で受けてくれる方を発見! これから来てくれるという。

だがホッとしたのもつかの間、実は問題はそれだけではなかった。社長によると、販売シーズンは10月から。「今売っているのはちっちゃい(稚魚)。今年生まれたばかりだからスゴい弱い」と、現状を明かした。なんと、まだ成長した鯉は存在しないのだ!

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こちらの伊佐養鯉場は1970年に創業され、「昭和」の美にこだわる老舗。その鯉の生産フローは、5〜6月に産卵&う化、5月〜翌年9月まで野池などで育成、10月初旬に池揚げされ、10月〜11月に販売…という流れ。つまり、親子が養鯉場を訪れた9月中旬はまだ野池で育成中、購入できるのは稚魚だけなのだ。

情報を失念したと反省するシンディさんだが、そこは生粋のプラス思考、「稚魚でもいいので購入して育てたいんです」と訴え始めた。実は自宅の池で稚魚を育てた経験もあったのだ。それならば、と社長は快くOKしてくれた。

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するとそこに、バイヤーのアレックスさん(アメリカ合衆国出身)が到着。彼は外国人の顧客を多く抱え、キャリア13年というベテランだ。さっそく一同で室内いけすに向かう中、シンディさんは「どんなカワイコちゃんが待っててくれるのかしら」と、投げキッス。ついに「昭和」に会えるとあって、テンション爆上げだ。いけすで大量の稚魚を目にした親子は、「オ〜! オゥワオ! なんてこと!」と大感激。網ですくわれた稚魚を物色したシンディさんは、ゴージャスなカワイコちゃんを発見。「黒色が際立っているわ。早く私の家に連れて帰りたい」と、待ちきれない。

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そして「このサイズの稚魚を100匹買うわ」と、爆買いオーダーを! 「成長を見られると思うと、今からワクワクよ」と、社長と固い握手をかわした。後日、カワイコちゃんたちは空輸便でシアトルへと旅立った。

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ところで、稚魚とはいえ高価な昭和。100匹も爆買いとは、いったいおいくらなのか!? 質問したが、アレックスさんとシンディさんから開示をお断りされてしまった、残念! 何はともあれ、無事に商談がまとまったということで、密着は終了。

「私たちの勉強不足でいろんなことが起こったけど、全てが上手く転がって日本で錦鯉を買えたことに感謝するわ」と大満足のシンディさん、ケイシーさん、稚魚をがんばって育ててね〜!

ケイシーさん、次は彼女もね〜。