4月17日夜、高知県と愛媛県で最大震度6弱を観測する地震がありました。山口県内でも緊急地震速報が出され、その後の揺れに驚いた人も多かったのではないでしょうか?この地震の震源は豊後水道で、南海トラフ地震の想定震源域内でした。

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マグニチュードは6.6でしたが、仮にマグニチュードが6.8を超えていた場合、発表の可能性があったのが「南海トラフ地震臨時情報」。初めて聞くという人も多いのではないでしょうか?この「南海トラフ地震臨時情報」とは、南海トラフ全域を対象に地震発生の可能性の高まりを知らせる情報です。この情報が出された場合、どのような行動を取る必要があるのでしょうか。元気象庁長官に聞きました。

4月17日午後11時14分ごろ、愛媛県と高知県で最大震度6弱を観測する地震がありました。気象庁によると、震源は南海トラフ地震の想定震源域内の豊後水道、地震の規模を示すマグニチュードは6.6でした。

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大きな被害が想定されている南海トラフ地震は、今後30年以内に70〜80%の確率で起きると予測されています。マグニチュード8〜9、最大震度は7、太平洋沿岸では大津波も想定されています。山口県内では柳井市で最大震度6強、岩国市など7つの市や町では震度6弱以上の揺れ。津波は、最大で3.8メートル、最大で614人が死亡し、負傷者は1477人と想定されています。

4月17日の地震と南海トラフ地震との関係について、気象庁は「関係を調査するマグニチュードの基準未満」だったと発表しました。

想定震源域でマグニチュード6.8を超えると?

仮に4月17日の地震で、マグニチュードが基準の6.8を超えていた場合、どのような対応が取られるのでしょうか。

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元気象庁長官 山本孝二さん
「南海地震のエリアでマグニチュード6.8を超えますと、南海地震とのつながりが非常に心配されますので、気象庁はその時点で臨時情報を出すんですね」

南海トラフ地震が起きる可能性が高まっていないか調査を始め「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」を発表します。南海トラフ周辺でマグニチュード6.8以上の地震が起きた場合や、東海から四国に設置された地下の岩盤の伸び縮みを監視する「ひずみ計」で普段と違う変化が観測された場合(ゆっくりすべり)などに、気象庁から出されるものです。

気象庁では地震の専門家が集まり、南海トラフ地震の発生する可能性について評価を行います。

元気象庁長官 山本孝二さん
「(今回の地震は)臨時情報を出す基準の6.8未満だったことから、今回はそういう検討会が開かれなかったということになります」

南海トラフ地震臨時情報(調査中)が出されると、2時間後をめどに、評価結果や途中経過が発表される予定です。その結果、発生の可能性が平常時と比べて非常に高まっていると認められた場合に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)、高まっている場合に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が出されます。

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元気象庁長官 山本孝二さん
「国民のみなさまがこういうふうな準備をしてくださいという行動様式がそれぞれに定まっておりまして、例えば、身の回りの地震対策だとか、そういうのをもう一度しっかり見直してくださいとか」

発表時点では落ち着いた対応が必要ですが、巨大地震警戒が出された場合、発表後1週間程度まで「日ごろの備えを再確認に加え、津波からの避難が間に合わない地域は事前に避難する」。巨大地震注意の場合、1週間程度「日ごろの備えを再確認」し、以降も、「地震の発生に注意しながら通常の生活を送る」よう目安が示されています。

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元気象庁長官 山本孝二さん
「(情報と行動指針が)意外にこれが知られていないんですね」

気象庁は17日の地震について、南海トラフ地震の可能性が「急激に高まっているとは考えていない」としました。

元気象庁長官 山本孝二さん
「気象庁が会見で言ったのは、この地震が南海地震にただちに結びつくものではない。しかし、今後の推移を十分注意深く見守っていく必要がある、これが正解だと思います」

今後高い確率で発生が予測されている南海トラフ地震。どのような情報が発表され、どういった行動を取るべきか知っておくことも、大切な地震への備えです。