芋焼酎の原料となるサツマイモは、サツマイモ基腐病の被害に直面しています。霧島酒造では、病害リスクを減らそうと、苗の栽培や研究を行う施設を建設し、農家に供給する苗の出荷が始まっています。

去年、霧島酒造が約14億円をかけて都城市に建設したさつまいも種苗生産センター「イモテラス」。

約1万8000平方メートルの敷地で、サツマイモの苗の栽培や品種改良、栽培環境の省力化などの研究が行われています。

(霧島酒造種苗管理係 田中鴻平さん)
「サツマイモ基腐病が発生すると、イモの収穫量の確保ができなくなるので、それを克服するための健全な苗を供給する。何か生産者支援の一つになればと思い、設立した。」

サツマイモ基腐病は、カビの一種が原因で発生し、感染するとイモの茎が枯れ、実が腐る病気です。

2018年に初めて県内で発生が確認されて以降、焼酎の原料となるサツマイモの収穫量が減少し、霧島酒造では、一部の商品で今も販売休止の状態が続いてます。

最優先課題は、基腐病の克服。

霧島酒造は、病気の発生リスクの少ない苗をイモテラスで育て、農家に切り苗とポット苗の供給を始めました。

(霧島酒造種苗管理係 田中鴻平さん)
「この時期は苗を植え付ける時期で、注文数も多くなってきているので、私たちとしてもしっかりとした苗を育てて供給していきたいと思っています。」

今年は約175万本の切り苗の出荷を見込んでいて、仲買人などを通じて県の内外の農家に届けられます。

(農家・仲買人 長岡耕二さん)
「やはり病気が少なくて、収量があることを目標にしています。今年は3tぐらいが目標です。」

鹿児島県志布志市の農家・長岡耕二さん。

イモテラスのポット苗を使って、サツマイモを育てています。

(農家・仲買人 長岡耕二さん)
「周りの農家さんも、3年ぐらい前は70軒ほどあったが、40軒ほどに減った。その中でもやっぱり基腐病がひどいところが辞めたというのが現実です。」

霧島酒造によりますと、2013年からの10年間で、登録生産農家の数は45%減少。

作付面積は東京ドーム640個分が減少しています。

もともと農家の高齢化や転作が進んでいた中で、基腐病が追い打ちをかけました。

(農家・仲買人 長岡耕二さん)
「うちにも苗を分けてほしいという問い合わせは結構きています。病気が少なくなれば、元の農家が戻ってきたり、経営面積をちょっと増やしたり、そういうところは期待している。」

農家の減少を食い止める上でも期待が大きいイモテラス。

イモテラスの健全な苗は、これから農家の畑で育てられ、8月から12月にかけて収穫されます。