ドジャース大谷翔平選手の元通訳・水原一平さんによる違法賭博疑惑で取りざたされるギャンブル依存症。
スポーツ賭博で2000万円の借金を抱え、ギャンブル依存症の回復施設に入所していた男性を取材しました。
当事者が語るハマると簡単にはぬけられない恐怖とは…
スポーツ賭博でギャンブル依存症の男性(27):
「ギャンブルをコントールできない人種にとっては偉い人、偉くない人とか、職業の貴賤だったりとか、そういうこと関係なく誰しもが苦しむ病気なんだと改めて認識しました」
スポーツ賭博でギャンブル依存症の会社員の男性27歳です。
ギャンブル依存症の男性(27):
「海外のサッカーとかが好きで、うっすらスポーツにお金をかけれたら面白いと思っていた。それが実在するのをネット広告で知って、そこにアクセスして登録して始めて見たのが僕のスポーツベットの始まりで…」
ささいな興味から始めたというスポーツ賭博。
しかし、そこから、泥沼にはまっていきます…。
ギャンブル依存症の男性(27):
「時間も取りませんし、あとは賭ける種類の多さ。リーグ戦の優勝者に賭けをするとか、1試合1試合、個別でみても勝ち負けじゃなくて誰が点をとるかとか、スコアが何対何になるとか、やはり強烈に魅力を感じました」
ギャンブル依存症は賭け事にのめり込み、日常生活や社会生活に支障が生じていても賭け事を繰り返すことに快感を覚え自分自身でコントロールが効かなくなってしまうWHOが認定する病気です。
自らの意志とは関係なく起こるもので、誰でも発症する可能性があります。
山梨県によりますと県内では毎年30人前後が精神科で治療を受けています。
ギャンブル依存症の男性(27):
「僕の辞め時はやはりお金がなくなる時でした。お金があって賭けることができるうちは賭けることを止められなくて、次の日に仕事があって日付とかをまたいでしまってもお金をかけてしまう。負けてようやく、やっと寝られるみたいな。
お金をなくしたことの悔しさ、やるせなさと同時に安ど感があって…それで眠りにつけて」
日本では公営競技やスポーツ振興くじ以外、スポーツ賭博は認められていません。しかし…。
ギャンブル依存症の男性(27):
「ネット環境があればどこでもできます。世界中のスポーツがスポーツベットの場合対象になるので日本の試合、ヨーロッパ・アフリカの試合、北米・南米の試合。
私の場合お金が許す限りはずっと一日中起きてて、いろんな地域のギャンブルに手を出していました」
こうしたスポーツ賭博の依存性は、24時間365日賭けの対象となるスポーツが世界中で行われていることや、ネット環境さえあればスマートフォンでどこでもできることだといいます。
ギャンブル依存症の男性(27):
「まずいことをしているという認識は常に持ち始めていました。でも後戻りができない、失ったお金のことや、やはりそれを取り返して穴埋めをするまでは引くに引けない、そういう感じでした」
借金は膨れ上がりおよそ2000万円に。
家族に相談し通院を繰り返したあと、甲府市の回復施設グレイス・ロードに入所しました。
ここで出会った仲間の存在がスポーツ賭博と決別するきっかけになったといいます。
ギャンブル依存症の男性(27):
「回復している仲間の姿を見て、ギャンブルを辞めて生きるのって、すごい楽しそうだなって。自分も同じようにやってみようかなって。そういう風に思えたのがギャンブルをちゃんと辞めようと思えたきっかけでした」
グレイス・ロードの入所者(ギャンブル依存症)の男性:
「毎日がとりあえず明日の返済、そのお金を得るためにきょう一日ギャンブルをする」
グレイス・ロードの入所者(ギャンブル依存症)の別の男性:
「ギャンブルしているから借金作ったのにギャンブルをしていれば借金はなんとかなる。矛盾した考えだが、実際そうなんですよね」
グレイス・ロードには現在、全国からギャンブル依存症と闘うおよそ80人が入所しています。
互いの経験を語り合い抱えている辛い思いを分かち合うなど、様々な回復プログラムを行いながら社会復帰を目指しています。
ギャンブル依存症回復施設 グレイス・ロード 池田文隆センター長:
「コロナ禍で外出自粛であったりとかで一気にインターネットでギャンブルをやる割合が大きくなってきたというのが特徴としてあると思います」
去年、施設に寄せられたギャンブル依存症に関する相談はパチンコ・パチスロを中心におよそ800件で、年々若年化していると言います。
ギャンブル依存症回復施設 グレイス・ロード 池田文隆センター長:
「病気という事を認められないとか、誰かに相談してもなかなか理解してもらえずに自分でなんとかしなければいけない、と思い込んでしまって、人に助けを求められないことがあるので。
ギャンブルが原因で困ったことがあれば適切なアドバイスをしてもらえるような相談機関に是非相談を」