火災や災害時で活躍する地域の消防団は、人口減少や高齢化ライフスタイルの変化などで団員の減少に歯止めがかかりません。
岐路に立たされた現場を取材しました。

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山梨県笛吹市消防団御坂分団の第20部。

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20代から40代まで約25人が所属しています。

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活動は火災の初期消火や、災害時の避難誘導、火災防止の呼びかけなど幅広く行われています。

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団員歴7年目 30代 消防団員:
「地元で生まれて育って、少しでも貢献したいなと思っていう思いがあって入団した」

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山梨県内の消防団は市町村ごとに設置され、そこから地域ごとにつくられる「分団」、さらに自治会などの地区ごとの単位でつくる「部」へと組織が細分化されます。

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団員数は全国的に減少傾向で、県内は去年は約1万3600人でピーク時と比べ5000人以上、約3割減っています。

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高齢化も進んでいて、この消防団はおよそ5年前に隣合う2つの地区の部を合併しました。

カバーするエリアは広がりましたがメリットを感じています。

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団員歴9年目 30代 消防団員:
「年配の方が多くて、中には50を超えている方もいたので、合併をきっかけに若返りできたので。合併はすごい良いきっかけになったと思う」

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団員数の減少でより深刻な事態になっている自治体もあります。

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甲府に隣接する中央市では3月末、任期の節目で団員の入れ替えがあり、93人が退団したのに対し、新たに入団したのはわずか22人でした。

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特に人口の多い旧田富町のエリアで入団が少なく、4つ部で団員がゼロ=不在となりました。

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中央市危機管理課 青柳健治 課長:
「家庭やプライベートを優先する若い世代の価値観の変化などが要因。今までは(こんな事態)なかった」

どこに不満があったのか元団員に話を聞くと

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退団した元団員①:
「消防技術を競う大会のため多い時で週に3回練習があり、負担が大きかった」

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退団した元団員②:
「新しい団員が全く入ってこなかった。いつまで続ければいいのだという気持ちになった」

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中央市は去年の夏頃から団員にアンケートを行い、長年続いていた消防技術を披露する大会を取りやめるなど、負担軽減策について話し合いを続けてきましたが、今回の事態を防ぐことができませんでした。

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青柳 課長:
「今後、消防団全体で不在となったところをどうやってやっていくのか検討に入っていく」

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消防行政に詳しい専門家は、地域を熟知する消防団員の不在で火災や災害時の初動が遅れる恐れがあるとした上で、団員の確保に向けてはこれまでの男性中心の組織から多様な人材の取り込みと、伝統にしばられない変化が必要と指摘します。

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関西大学 永田尚三 教授:
「女性の消防団員や学生の消防団員は全国的に増えている。よりオープンで時代にあった組織文化への改革が必要な時期にきている」

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防災の要となる地域の消防団は、今岐路に立たされ変革の時期を迎えています。