自民党派閥の裏金事件に端を発した政治とカネの問題は終息の気配は見えません。

任期まで1年半を切った衆議院の解散はあるのか、そして次期衆院選の山梨県内の情勢について県政担当の記者と探っていきます。



芹沢年延記者:
まずおさらいですが前回2021年の衆院選では2013年に現在の選挙区となってから初めて山梨1区2区ともに自民党が制しています。
おととしの参院選でも自民党は勝利し、県内の議席を独占している状態です。
一方、立憲民主党の中島さんは前回敗れて比例での復活となりました。

小嶋優キャスター:
保守王国復活のきっかけというのを印象付けた前回ですが、今は自民党に対して逆風が吹いている状況ですよね。

芹沢記者:
そうですね、自民党の状況をまとめました。



強制捜査が行われた自民党派閥の裏金事件。

国会でも政治資金規正法の改正が議論され、自民党への逆風はおさまる気配を見せません。

それが顕著に表れたのが4月28日に行われた3つの衆院補欠選挙です。
東京と長崎は不戦敗、唯一候補を擁立した島根も敗北を喫しました。

自民党県連も裏金事件の逆風が全敗という形で表れた事に危機感を持っています。



自民党県連 森屋宏会長:
「現実は大変厳しい審判を受けたわけですから、そうしたことを踏まえた上で、私たちの山梨の準備も進めていきたい」

これまで「組織力」をいかして選挙に勝利を納めてきた自民党ですが、関係者の中ではとりわけ山梨1区での苦戦を懸念する声があります。

4月には甲府市選出の向山県議など諸派に所属していた県議らを含めた新たな自民党系の会派が県議会で設立されました。



また知事選の対応をめぐり自民党を離党した甲府市選出で元県連会長代行の皆川巌前県議を復党させていて、こうした動きを「大票田・甲府市の票を固める狙い」と見る向きもあります。

16日には裏金事件を受けて党幹部が全国を巡る車座会議も甲府市で開催される予定で、裏金事件の影響をどう抑えていけるかが課題と言えます。



自民党県連 森屋宏会長:
「私たちは地域の皆さんの選択を受ける立場では真摯にそうした国民の声を受け止めた中で、自分たちの進め方をしていかなければいけない」

小嶋キャスター:
自民党の現状をみますと野党は有利な状況と言えるのでしょうか?

芹沢記者:
いいえ、私はそうは思いません。確かに立憲民主党が補選で3戦全勝となりましたが、決して追い風とは言えないようです。県内野党の状況をまとめました。



立憲民主党県連 小沢雅仁代表:
「わが立憲民主党に大きな風が吹いたというよりも自民党に大きな逆風が吹いたと受け止めています」

山梨1区の議席奪還が至上命題となる立憲民主党県連。



全国的にも珍しく支持団体の連合山梨と国民民主党県連が連携して支援することを決めていて、組織力をフル稼働するとともに街頭活動を活発化させて無党派層の反自民票の受け皿となることも目指しています。

立憲民主党県連 小沢雅仁代表:
「お互いが協力しあって信頼関係を構築して議席を奪取する意味では、その力を最大限発揮する意味でも、大変、大きな連携強化が図られると思います」

一方で長年の課題である山梨2区への候補者擁立は見通しが立っていません。



立憲民主党県連 小沢雅仁代表:
「女性の方に立候補していただきたいという思いは強く持っていますが、なかなか難しい所もあるかもしれませんけれど、山梨2区に在住もしくはご出身の方に是非とも決断してもらえたらありがたい」

また自民党に対抗する手段として過去の国政選挙で県内でも野党が共闘しましたが、今回は共産党が候補者の擁立を模索しています。



共産党県委員会 花田仁委員長:
「率直に(野党共闘は)日本共産党を外すという動きもあって困難な状況にあると思います」
「共闘が困難な状況に陥っていることで、山梨1区、2区とも擁立する方針です」



芹沢記者:
野党の現状をまとめました。立憲民主党は1区で中島さんを擁立しますが、2区の擁立はめどが立っていません。

共産党は今回は1区、2区ともの候補者擁立を予定しています。

国民民主党は1区で立憲民主党の中島さんを支援しますが、2区の対応は未定です。

またそれぞれ党本部に質問状を送りましたが、日本維新の会は希望する候補者がいれば擁立したいとしています。ただ、次の衆院選までに県内支部を設立する予定は現状ないとしています。

れいわ新選組は1区、2区の擁立は「もちろんある」としています。候補者が決定すれば県内にも支部を設立する予定です。

小嶋キャスター:
では実際に衆議院の解散はいつ?という事ですが…



芹沢記者:
はい、衆議院の任期はすでに残り1年半を切り、いつ解散してもおかしくないといわれる状況です。
ただ県内関係者を取材しますと、補選で自民党が全敗した事でかえって解散は遠のいたという見方が強いです。

国会の会期末を迎える6月に解散するという見方もありましたが、その可能性は低いと言えると思います。

そうしますと次のヤマ場は9月の自民党総裁選後。

岸田総裁が再選されるのか、それとも新しい顔となるのか、いずれにしても、その結果の勢いをもって解散に打って出る可能性はありえます。

野党は裏金事件で自民党に逆風の中で早期解散を要求していますが、今後は自民党内の情勢が解散の決断を大きく左右すると言えそうです。

県内の各政党はそれを睨みながら準備を進める夏を迎えることになります。

小嶋キャスター:
芹沢記者と次期衆院選の県内の情勢をお伝えしました。