米国を代表するマッスルカー「チャージャー」がフルモデルチェンジ、新型が世界初公開されました。注目は、初めて採用された電気自動車(BEV)モデルです。

世界初となる「完全電動マッスルカー」

 ステランティスの米国ブランド、DODGE(ダッジ)は2024年3月5日、2ドアクーペおよび4ドアセダンの「Charger(チャージャー)」をフルモデルチェンジ、新型を世界初公開しました。

 チャージャーは初代が1966年に登場した、米国を代表するマッスルカー(ハイパフォーマンスカー)です。

 1982年に2代目に進化しましたが1987年に生産終了、その後長らく生産されていませんでしたが、2005年に3代目が後輪駆動モデルとして復活しています。現行型チャージャーは2011年に登場した4代目です。

 日本でも2007年に正規ブランドとして初上陸、SUVの「キャリバー」ジープ・チェロキーのダッジデザインとなる「ナイトロ」FFセダンの「アベンジャー」とともに、431馬力を発生する6.1リッターHEMIエンジンを搭載したハイパフォーマンスモデル、「チャージャーSRT8」も導入されました。

 その後、2009年にクライスラーが本国で日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条の適用を申請したことにともない、その後のモデル投入などは凍結された結果、2011年には日本市場から撤退しています。

 今回米国で世界初公開された5代目となる新型チャージャーは、全モデル全輪駆動(AWD)が標準装備となります。

 注目は世界初となる「完全電動マッスルカー」である「チャージャー デイトナスキャットパック」および「チャージャー デイトナ R/T」が用意されたことです。。

 これはステランティスが開発した「STLAラージ」プラットフォームを採用した初のモデルで、パフォーマンスモデルのデイトナスキャットパックは最大670馬力を発生。0−90mph(約96km/h)加速は3.3秒を想定しており、世界最速かつもっとも強力なマッスルカーの称号を維持するといいます。

 ダッジブランド初の完全電気自動車(BEV)で、400Vプロパルションシステムを採用、従来のV8エンジン+S/Cなみの性能を実現しています。

 前後に電動ドライブモジュール(EDM)を搭載するAWDモデルで、それぞれインバーター/ギアボックス/モーターを統合した3-in-1アーキテクチャを採用、前後のEDMともに335馬力・300lb-ft(約407Nm)を発生します。

 リチウムイオンバッテリー容量は100.5kWhです。これにより、新型チャージャー デイトナR/Tは 517マイル(約832km)以上の航続距離を実現すると想定されています。また高性能モデルの新型チャージャー デイトナスキャットパックは420マイル(約676km)となる見込みです。

 また新型チャージャー電動モデルには、特許出願中の「Fratzonic Chambered Exhaust (フラッツニック・チャンバードエキゾースト)」を初採用。これはBEVにもかかわらずヘルキャットレベルの独自の排気プロファイルを作成、静かだというBEVの概念を打ち壊し、マッスルカーにふさわしいサウンドを提供するもので、特にサーキットや高速走行時にドライバーにフィードバックを提供します。

 ステランティスのダッジブランド最高経営責任者、ティム・クニスキス氏は「電動化されたダッジ・チャージャー・デイトナスキャットパックは、チャージャー・ヘルキャットレッドアイレベルのパフォーマンスを提供し、世界初のフラッツニック・チャンバード・エキゾーストによってその存在感を示します。一方、ハリケーン・エンジンを搭載したダッジ・チャージャー・シックスパック・モデルは、より優れた馬力を生み出すガス・オプションをブラザーフッド・オブ・マッスルに提供します。次世代のダッジ マッスルが登場しました」とコメントしています。

 BEVの新型チャージャー デイトナの2ドアクーペバージョンは、2024年中旬から生産が開始される予定です。また4ドアモデルは2025年第1四半期から生産される予定となっています。

 新型チャージャーは、オンタリオ州にあるウィンザー組立工場で生産されます。

BEVだけでなくガソリンエンジンモデルも用意

 新型チャージャーには、将来的にはBEVだけではなくICE(内燃機関)モデルも用意されます。

新型「ダッジ・チャージャー」のインテリア

 550馬力を発生する3リッターツインターボ「I-6ハリケーン」エンジンを搭載した「チャージャー シックスパック HO」および420馬力の「チャージャー シックスパック SO」の2つのガソリンモデルは、2ドア/4ドアともに2025年第1四半期に生産が開始される予定です。

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 新型チャージャーの外観デザインは、機能性を重視した先代チャージャーのクリーンなラインを反映させた、モダンで筋肉質なデザインとなっています。

 デイトナモデル専用の、ダッジが特許出願中のフロントRウィングは、オリジナルのチャージャーデイトデザインを継承しながら、フロントパススルーを空気が流れることを可能にし、ダウンフォースを強化しながらユニークな視覚的プロファイルを作成します。

エリアを空気が流れることを可能にし、ダウンフォースを強化しながらユニークな視覚的プロファイルを作成します。

 2ドアクーペと4ドアセダンのホイールベースは共通で、ワイドなスタンスも共通となっています。

 インテリアは10.25インチまたは16インチのクラスタースクリーンが目をひきます。センターディスプレイは12.3インチで、ドライバーに向けられています。

 モダンでテクニカルな雰囲気の室内は、1968年に登場した初代チャージャーを彷彿とさせるデザインとなっています。