建築家の故・黒川紀章氏の設計で、都市建築・メタボリズム建築の象徴として注目された「中銀カプセルタワー」。2022年に解体されましたが、保存・修復された5つのカプセルを「泊まれるカプセル」として再生、神奈川県横須賀市に2024年秋、誕生します。

昭和を代表する建築のカプセルを「宿泊施設」として再生

 1972年に建築家の黒川紀章氏が設計した集合住宅が「中銀カプセルタワー」です。

 東京・中央区銀座8丁目に存在した中銀カプセルタワーは1960年代の若手建築家から始まったメタボリズム(新陳代謝)という建築運動を代表する建築物で、世界で初めて実用化されたカプセル建築です。

 時代に応じて自在に移動・成長するというコンセプトがありましたが、老朽化のため惜しまれつつ2022年に解体されました。

 そんな中銀カプセルタワーの5つのカプセルを、2024年秋、神奈川県横須賀市にある長井海の手公園ソレイユの丘にて、「泊まれるカプセル」として再生します。

 この取り組みは2024年夏から開始する、空き家・遊休不動産の再生に特化したエンジョイワークスのプラットフォーム「ハロー! RENOVATION」を活用した「カプセルヴィレッジプロジェクト」となっています。

 中銀カプセルタワービルを構成していた140個のカプセルのうち23個を「中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト」が、黒川紀章建築都市設計事務所監修のもと、保存・修復。

 2024年夏からスタートするプロジェクトでは、横須賀市にある「長井海の手公園ソレイユの丘」を舞台に、修復された23個のカプセルのうちオリジナルのカプセル5つを宿泊施設として活用し、世界で唯一「宿泊できるカプセルホテル」として再生させます。

 丸窓が特徴のカプセルは、幅2.7m×奥行き4.2m×高さ2.55mの白いシンプルな箱となっています。

 多くの観光客が訪れるソレイユの丘が、日本のメタボリズム建築の象徴と言われる「カプセル」と、郊外のロケーションの組み合わせを楽しめるものとなります。