JR東日本が「大人の休日倶楽部」会員に提供しているフリーパス、「大人の休日倶楽部パス」の2024年度概要が明らかになりました。エリア内の新幹線や特急を含めた普通車自由席が期間中乗り放題で、さらに普通車指定席も6回まで利用可能という、“乗り鉄”にはまさに夢のような商品ですが、2024年度はこれまで変更されたところがあるようです。どう変わったのでしょうか。

2024年度からは3種類すべてに「グリーン車」タイプが登場

 JR東日本が発売する「大人の休日倶楽部パス」の2024年度版の内容が明らかになりました。

 大人の休日倶楽部パスとは、「大人の休日倶楽部」の会員(満50歳から64歳までの「大人の休日倶楽部 ミドル」および満65歳以上の「大人の休日倶楽部 ジパング」)のみが購入できる、新幹線を含むJR東日本、JR北海道、さらに一部の私鉄、第3セクターなどの列車、BRT(バス高速輸送システム)が「フリーエリア」として乗り放題となる企画商品です。

 その発売期間や利用期間は年度ごとに異なっていますが、今年度については、有効期間が5日間に統一されました。一部商品の価格が値上げになったこと、グリーン車を利用できる商品が当初よりラインナップされたことが、大きなポイントとなっています。

 ではまず、その概要を見ていきましょう。

 2024年度は「大人の倶楽部休日パス 東日本」「同 東日本・北海道」「同 北海道」の3種類が発売されます。それぞれに「普通車」「グリーン車」の2タイプが用意されます。

「東日本(普通車)」は、新幹線を含むJR東日本全線、青い森鉄道線、いわて銀河鉄道線、三陸鉄道線、北越急行線、伊豆急行線、富士急行線、えちごトキめき鉄道線(直江津〜新井)の特急、急行、快速、普通列車の普通車自由席およびJR東日本のBRTが乗り放題となります。なお、北陸新幹線については、JR東日本の営業区間となる「高崎駅から上越妙高駅まで」が範囲となります。

「東日本・北海道(普通車)」は、「東日本」の乗り放題に、新幹線を含むJR北海道の特急、急行、快速、普通列車の普通車自由席が加わります。

「北海道(普通車)」は、新幹線を含むJR北海道の特急、急行、快速、普通列車の普通車自由席が乗り放題となります。

 これらはすべて、あらかじめ指定を受けることで、新幹線や特急の普通車指定席が6回まで利用できます。また各商品の「グリーン車」は、その6回にグリーン車を含めることができます。

 利用期間は合計3回に分けて設定され、第1回が6月20日(木)から7月2日(火)、第2回が9月26日(木)から10月8日(火)、第3回が2025年1月16日(木)から1月28日(火)で、有効期間はこの期間内の連続する5日間です。

 発売期間は、第1回が5月20日(月)から6月27日(木)、第2回が8月26日(月)から10月3日(木)、第3回が12月16日(月)から2025年1月23日(木)で、利用開始日の1カ月前から前日までの間に、利用開始日を指定して購入します。

 なお、発売枚数は利用開始日ごとに、普通車は3万枚、グリーン車は1000枚で、上限に達した場合、販売は終了となります。

一番人気の「東日本パス」は値上げしたが有効期間が5日に延長

 発売場所は「東日本」がインターネットの予約購入サービス「えきねっと」およびJR東日本エリアの主な駅の指定席券売機、みどりの窓口、駅たびコンシェルジュなどで、「東日本・北海道」が上記に加え、JR北海道の主な駅のみどりの窓口、「北海道」が「えきねっと」とJR北海道の主な駅のみどりの窓口となります。

 グリーン車については「えきねっと」のみでの取り扱いです。

JR東日本/JR北海道だけでなく、「青い森鉄道」などの第3セクター、一部私鉄にも乗ることができるのが「大人の休日倶楽部パス」の魅力だ

 価格は「えきねっと」とそれ以外で異なるので、注意が必要です。

 「えきねっと」での価格は「東日本」が普通車1万8800円、グリーン車3万5000円、「東日本・北海道」が普通車2万6620円、グリーン車5万円、「北海道」が普通車1万7400円、グリーン車3万5000円で、普通車の「えきねっと」以外での購入は、それぞれ1000円高となります。また支払いはすべて「大人の休日倶楽部カード(クレジットカード)」での決済限定となります。

 この価格は、「東日本・北海道」「北海道」は2023年度までと同じです。

「東日本」については、2023年度が1万5270円だったので、2024年度は「えきねっと」で購入すると3530円の値上げという形になります。

 ただし有効期間が従来の4日から5日に伸びたため、1日あたりで換算すると2023年度までは3817円、2024年度は3760円となり、毎日フルで乗り放題したい人にとっては格安になった、という見方もできます。

大人の休日倶楽部パスは、「大人の休日倶楽部」の会員(満50歳から64歳までの「大人の休日倶楽部 ミドル」および満65歳以上の「大人の休日倶楽部 ジパング」)のみが購入できる企画商品だ

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 では「大人の休日倶楽部パス」を使うと、実際にどのくらいオトクになるのでしょうか。

 東京から東北新幹線「はやぶさ」で新青森を往復する場合、通常期の普通席で紙のきっぷを利用した場合、運賃と指定券の合計は3万3260円、「大人の休日倶楽部 ミドル会員」の5%割引でも3万1580円です。

 しかし「大人の休日倶楽部パス 東日本(普通車)」を「えきねっと」で購入すれば、1万8800円なので、ミドル会員と比べてもそれだけで1万2780円安くなります。

 単純往復でもここまで安くなる上、途中下車しても、また目的地周辺で観光地を巡っても、乗り放題の範囲内であれば追加の出費は不要なので、実際にはさらにオトクになると考えられます。

 なお「大人の休日倶楽部」には、年会費(「ミドル」は初年度無料、翌年度から2624円、「ジパング」は初年度から4364円)がかかりますが、この差額は、その年会費をカバーするにも十分です。

 もし前述の有効期間に乗り放題エリアを旅行する予定があり、かつ年齢条件に該当するのであれば、「大人の休日倶楽部」に入会し、「大人の休日倶楽部パス」を利用する価値が十分にあると考えていいでしょう。

「大人の休日倶楽部」では、この「大人の休日倶楽部パス」以外にも、各種の割引きっぷや乗り放題の企画商品を、会員向けに販売しています。

 ふだんクルマでの旅行を楽しんでいる人も、入会して列車の旅、または列車+レンタカーの旅で、新たな発見を求めてはいかがでしょうか。