アウトドアの人気コンテンツの焚き火。灯りや暖として楽しむだけでなく、食材を炙ってそのまま食べてもかなり楽しんです。準備も簡単で小腹を満たせるお手軽屋外フード“焚き火で炙ると美味しいもの”を紹介します。

●炎が生み出すプリミティブな味覚体験

 暗闇のなかで真っ赤な炎が揺らぐ焚き火。温かな火の灯りを眺め薪が爆ぜる音に耳を澄ませてストレスが消えていくと、花より団子、美味しいものが食べたくなります。

 とはいえ、本格的な料理をするのが面倒なときってありますよね。

 そんなときにオススメしたいのが、クッカーも調味料も使わずに食材を炎にかざして炙るだけという「炙りメニュー」。

 今回は焚き火に特化したイベント「焚火クラブ」をオーガナイズする、都内で焚き火が楽しめる貴重なスポット・若洲公園キャンプ場にあるレンタル&ショップ「若洲アウトドアセンター」のマネージャーを務める金丸隼士さんに、焚き火で楽しむ炙りメニューについて聞きました。

●大切なのは「炙ったら美味そう」という探究心

VAGUE:人類が火を手にしてから、焚き火は暗闇を照らし身体を暖めるだけでなく、調理器具の役目も果たしてきました。

金丸さん:アウトドア遊びの原点は、DNAに刻まれた野営生活の記憶にあるのかもしれません。だからこそ僕らは焚き火に原始的な魅力を感じるのでしょう。祖先も狩ってきた肉を焚き火の炎で炙って喰らい、仲間や家族と語り合っていたはずですよね。

VAGUE:というわけで今回は、焚き火で炙るだけでサクッと食べられる「炙りメニュー」について教えてください。

金丸さん:焚き火は炎を育てるのが楽しみの一つですが、炙り料理も同じで最高の焼き上がりを目指し炎で焼き目を美味しく育てるのが魅力。しかも、メイン料理ができるまでの小腹満たしにもぴったりなんです。

VAGUE:マシュマロをビスケットに挟むスモアが定番ですよね。

金丸さん:難しく考えず、「これ炙ったら美味そうじゃない?」という探究心でバーベキューフォークや竹串に刺した食材を炎に近づけることが大切。汁気の多い物や、串に刺すと落ちてしまうような柔らかい物以外なら試す価値はあります。まずは手堅くソーセージや塊のベーコンから試すといですよ。

VAGUE:小腹満たしにしては、いきなりメイン感ありますがワイルドで楽しそう!

金丸さん:道の駅などで見かける「吊るしベーコン」など、大きな塊で売られているベーコンをクーラーボックスに忍ばせておきましょう。

●レジ横ホットスナックも見逃すべからず

VAGUE:仲間を驚かせるような裏技的な食材は?

金丸さん:焚き火に特化したイベントの「焚火クラブ」では、会場の焚き火台を使ってご自身で炙って仕上げる食材を提供する「焚火食堂」を展開しています。そこで想像以上に人気だったのがドーナツでした。

VAGUE:「焚火食堂」のドーナツを実際に炙って食べて、「その手があったか!」と驚きました。

金丸さん:適当に炎にかざしてあげるだけで、カリサクの食感だけでなく、薪の香ばしさも足されるので本当におススメです。変わったところでは、シュークリームも香ばしさが増し、衣も中身のクリームも食感が変わって面白いですよ。

コンビニレジ横ホットスナックの王者、フライドチキンもオススメ。サーターアンダーギーなど小麦を使ったドーナッツ系も炙ると香ばしさが倍増します

VAGUE:キャンプ場へ向かう途中にドライブスルーでよくケンタッキーフライドチキンを買うんですが余ることも。

金丸さん:それはもう炙るしかないですね。フライドチキンやコンビニレジ横にあるホットスナックを温め直す程度に炙れば、揚げたてとはまた違ったクリスピーさが楽しめます。

VAGUE:どら焼きは……ちょっと炙りにくそうですね。

金丸さん:アンコ派でしたら鯛焼きをオススメします。ドーナツと同様、直火が小麦のポテンシャルを引き出すのでしょう、最高の香ばしさにアンコの甘みが加勢するのでもうたいへん。冷凍の鯛焼も便利なので、添えると最高なバニラアイスと一緒にクーラーボックスに入れておくといいでしょう。

VAGUE:焚き火といえば、ふっくらほくほくの焼き芋と答える方も多いはず。焼き芋は和のホットスイーツと言ってもよい存在です。

金丸さん:生のサツマイモから焼き上げるのもいいですが、スーパーマーケットなどで売っている調理済みの焼き芋が便利です。網があるなら干し芋もおすすめ。水分がほどよく飛んでいるので、焼き芋よりネットリとした濃厚な味わいが楽しめますよ。火傷に注意して、いろいろな食材にチャレンジしてみてください。