JR沼津駅からも近い「高沢公園」には機関車があります。なぜ公園に機関車が? さらに遊具のデザインまでも機関車です。公園に機関車、どんな経緯でここにやって来たのでしょうか。

どーんと鎮座する「デゴニ」

高沢公園(沼津市高沢町)

「高沢公園」は地元で人気の公園です。広々としていて遊具も充実。

どーんと存在感があるのは蒸気機関車です。年季が入っていそうですがサビなどは見当たらず、きれいに保管されています。

展示されているのはD52型蒸気機関車、通称「デゴニ」です。

よく見てみると、公園の遊具も機関車のデザインになっていて、滑り台の上には「たかざわこうえん」と書かれたホームの駅名看板のようなものもあります。

電車好きの子供は大喜び。

地元の人に聞いてみましたが、高沢公園を利用する人もその歴史やいきさつは知らない様子です。

公園到着当時の写真があった

情報を探るべく沼津市役所へ向かいました。緑地公園課の原大樹さんが貴重な資料を見せてくれました。

沼津市緑地公園課・原大樹さん:
昭和19年に製造された本物の機関車です

左)沼津市緑地公園課・原大樹さん

高沢公園の機関車は約80年前に作られた大先輩の蒸気機関車でした。記録によると高沢公園は昭和48年8月1日に設置されました。いまから50年も前の話です。

原さんが見せてくれたのは高沢公園に機関車が到着した時の写真です。車両に積まれて道路を運ばれ、公園に到着している際の様子です。

いまもピカピカなのは

現在もきれいな状態のデゴニですが、それは東海鉄道のOB会のみなさんがきちんと清掃しているからだそうです。

東海鉄道OB会は、国鉄や東海エリアにあるJR各社の退職者の会です。

お話を聞いたのは、沼津支部・支部長の小林眞一郎さんです。高沢公園の機関車、実は驚きの歴史がありました。

東海鉄道OB会沼津支部・小林眞一郎 支部長:
これは「牽引車両」です。客車や貨物列車を牽引するための車両です

相当大きくて引く力も強いパワフルな列車で、長さは約21m、高さは4m、重さは約137tあります。頑丈なつくりは、まさに「鉄の塊」です。

高沢公園の機関車の歴史は愛知県から始まり、姫路、北海道と全国で働いていました。戦時中も走っていたそうです。

昭和19年8月〜 名古屋鉄道管理局 稲沢機関区
昭和21年4月〜 大阪鉄道管理局 姫路機関区
昭和35年1月〜 青函鉄道管理局 五稜郭機関区

昭和48年、北海道で引退。沼津市から機関車を保存、展示したいという要望があり、こちら高沢公園に設置されたと資料には記載されているそうです。

東海鉄道OB会・小林さん:
ほこりを払うだけですが維持管理をすることで、SLの魅力がここで生まれると思って清掃しています

機関車を前にして静かに目を閉じれば、激動の昭和、全国を駆け抜けた勇姿がまぶたの裏に浮かんでくるのではないでしょうか。

■スポット名 高沢公園
■住所 静岡県沼津市高沢町8-1