ゴールデンウィーク(GW)も後半戦に突入。大型連休は、レジャーや休暇で日頃の仕事の疲れを癒やす時間ではあるが、それだけで過ごしてしまうのももったいない。やる気をとりもどし、自分の生き方や仕事、考え方をいったん見つめ直すのにぴったりの時期である。今回はビジネスのヒントや働き方に新発想をくれる3冊を紹介したい。

(HAKINMHAN/gettyimages)

「産業のコメ」の行方

半導体逆転戦略 日本復活に必要な経営を問う
長内厚 (著)
日経BP 日本経済新聞出版
1,980円( 税込)

 まずは『半導体逆転戦略 日本復活に必要な経営を問う』(長内厚著、日本経済新聞出版)。半導体をめぐる足元の状況を学ぶことのできる良書である。日本がかつての半導体大国から転落した経緯や、半導体をめぐる世界の環境変化、直近の状況などについて詳しく解説している。  

 日本には近年、半導体を取り巻く動きが活発に起きているが、その顕著な事例が本書でも紹介されている半導体開発製造会社ラピダスの設立と、熊本県内に誘致した台湾のTSMC(台湾積体電路製造)である。TSMCは熊本のみならず九州経済全域にも大きな影響を及ぼしている。一方のラピダスは、最先端技術で製品開発を追求する。

 いずれも注目すべき動きではあるが、著者がこの二つの動きに与える評価は大きく異なる。詳しくは本書を参照して欲しいが、ポイントの一つは、経済界が半導体の需要をどう捉えているかという部分になるだろう。

 多くの製品に使われている半導体は現代社会において不可欠なものであり、何かの理由でひとたび不足すると、世界経済が大きな影響を受けることは近年の経験から明らかである。半導体をめぐるダイナミックな動きをアップデートしたい人向けの良きテキストに仕上がっている。