置賜広域行政事務組合と西置賜行政組合の両消防本部が共同運用する「置賜地域消防通信指令センター」の開所式が17日、米沢市の同センターで行われた。置賜地域全域からの119番通報を一手に受け、出動指令も一元化。通信指令機能の共同運用は県内初で、救急車を含む消防車両の出動状況や人員配置を共有することで、大規模な災害や火災などでの円滑な相互応援が可能となる。

 通信指令センターは置賜広域行政組合消防本部の施設を活用し、通報の受理機器を更新した。両消防本部の担当者計19人が交代で勤務し、常に両消防本部の計5人程度が、通信指令業務に従事する。通報の受理と指令は共同だが、現場への出動は従来通りの管轄で行い、置賜広域行政事務組合が米沢、南陽、高畠、川西の各市町、西置賜行政組合は長井、小国、白鷹、飯豊の各市町を担当する。

 両消防本部で稼働している消防・救急車両は全68台で、出動状況などを一元的に把握でき、災害だけでなく多くの傷病者が発生した事案などで応援派遣がスムーズになることが期待される。応援が必要なケースはまだ発生していない。今年2月29日に試験運用を始め、今月から本格稼働している。共同運用では、個別の運用に比べ10年間で計約4億円節減効果が見込めるという。

 国による財政面での後押しもあり、全国的に通信指令の共同運用は進んでいる。大分県は県全体で1カ所に集約することを計画している。消防庁によると、昨年4月1日現在、全国46地域、193消防本部で共同運用を導入しており、県内では村山、東根、尾花沢の各市消防本部が2025年度の開始を予定している。

 開所式には置賜3市5町の市町長らが出席し、置賜広域行政事務組合理事長の近藤洋介米沢市長、西置賜行政組合管理者の内谷重治長井市長が、「自然災害が大規模化する中、迅速で的確な対応が可能になる」などとあいさつした。