山形美術館(山形市)で開催中の開館60周年記念展「カンヴァスの同伴者たち 高橋龍太郎コレクション」の関連イベントとして、同館で3日、東北芸術工科大大学院修士修了生で出品作家の久松知子さん(33)=埼玉県=のスペシャルトークが行われた。山形での制作や、拠点を移しながら取り組む活動の変遷などを紹介した。

 久松さんは2010年に同大に入学し、日本画を学んだ。19年から福島、20年から埼玉に拠点を移し、22〜23年には米ニューヨークで滞在制作を行った。同大在学中から日本の近代美術史をモチーフに制作。今回展示された「〈美術〉の神様」では、日本美術史上の偶像としての岡倉天心と、その系譜の末端にいる自分の分身を描いた。

 東北で美術を学ぶ中で「グローバルなアートと地方のアートの断絶」を感じるようになったという久松さん。ニューヨークでの滞在を経て「文化や背景が違っても共有可能なクリエーションができないか、挑戦を始めている」と語った。

 絵画の流通に着目した「300円絵画」の試みも紹介した。誰でも気軽に買えるアートで、トーク後には1階でイベントを実施。コラージュやアクリル絵の具で描いた絵画がずらりと並び、来場者は作品を手に取ってお気に入りを探していた。「300円絵画」は4、5の両日、午後1〜5時にも行う。