1986年の福井市の女子中学生(当時15歳)殺害事件で、殺人罪で懲役7年の実刑が確定し、服役した前川彰司さん(58)の弁護団が裁判のやり直しを求めた第2次再審請求を巡り、再審公判に向けた弁護側と検察側、裁判所の三者協議が27日、名古屋高裁金沢支部で開かれた。

 協議後に取材に応じた弁護団によると、2審・同支部の公判で有罪の根拠の一つとなった「血の付いた前川さんを見た」と証言した男性が協議に出廷。男性は「本当は前川さんに会っておらず、血の付いた姿も見ていない」と証言した。

 男性は無罪とされた1審・福井地裁で、弁護側の尋問に「事件当日、前川さんと会っていない」と証言したが、2審で翻していた。

 この日、男性は証言の変遷について「1審後、自分の薬物犯罪で警察署に出頭した際、警官から『控訴審で調書通りに話すなら見逃す』と持ちかけられ、受け入れてしまった」と説明。2審での証言の後に警官から結婚祝いに贈られたとする祝儀袋も証拠として提出したという。

 弁護団は、「再審決定に向けてインパクトのある証言となるはずだ」と語った。

 三者協議は4月18日に終結する見込みという。