ロシア南部のダゲスタン共和国の二つの都市で23日夜、武装勢力がロシア正教の教会などを襲撃した。ロシア通信などによると、警察官やロシア正教会の司祭ら計20人が死亡した。露連邦捜査委員会はテロ事件とみて捜査している。

 ダゲスタンの中心都市マハチカラと南部デルベントで、ほぼ同じ時間帯にロシア正教の教会やシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)、警察署が襲われた。露連邦捜査委によると、両都市で銃撃戦となり、治安当局は実行犯計5人を殺害した。ダゲスタン首長は6人を殺害したと発表していた。

 タス通信などによると、実行犯にはダゲスタン中部セルゴカラの地区長の息子ら親族3人が含まれ、地区長は当局に拘束された。ダゲスタンはイスラム教徒が多数を占め、パレスチナ自治区ガザ情勢を巡り宗教間の緊張が高まっていた。ウクライナ侵略で露軍に多数が動員され、露政府との関係が深いロシア正教会への不満が強まっているとの指摘もある。

 独立系メディア「バージヌイエ・イストリイ」(重要な話題)によると、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」とつながる「ISホラサン州」が犯行を主張する声明を出した。「ISホラサン州」は3月、モスクワ郊外のコンサートホールで140人以上が死亡した銃乱射テロでも犯行声明を出している。