小学館の相賀信宏社長が1日、都内のホテルで開かれた第69回小学館漫画賞の贈呈式に出席。日本テレビ系で放送されたドラマ「セクシー田中さん」の原作者で、1月に急逝した漫画家の芦原妃名子さんを悼み、「こうした悲劇を繰り返さないよう調査を進めて参ります」と再発防止を誓った。

 同作は同社の「姉系プチコミック」で2017年9月号から2024年1月号まで連載。芦原さんは生前、ドラマの脚本・内容を巡り「原作に忠実に」という当初の約束を反故にされたことを明かしていた。日本テレビは2月26日の定例会見で「社内特別調査チーム」が同月23日から調査を開始したことを表明していた。

 開式の主催者挨拶で登壇した相賀社長は、冒頭で芦原さんを悼み、生前の功績に敬意を示した上で「私達小学館は今回の事態を重く受け止めており、なぜこのような事態になったのか、どこかの段階で止められなかったのか、二度とこうした悲劇を繰り返さないために、現在調査を進めており、今後再発防止に努めてまいります」と無念の思いを口にした。

 そして「これからも小学館は作家、著作権者の皆様に寄り添い、その権利を守っていく所存です。小学館と仕事をして良かった思っていただる会社であり続けるように、今後も引き続き誠実に対応して参ります」と続けた。芦原さんは同賞を2度(第50回「砂時計」、第58回「Piece」)受賞していた。

 今年度は山田鐘人原作・アベツカサ作画「葬送のフリーレン」、松井優征「逃げ上手の若君」、絹田村子「数字であそぼ。」、稲垣理一郎原作・池上遼一作画「トリリオンゲーム」が受賞した。

 また、昨年まで「児童向け部門」「少年向け部門」「少女向け部門」「一般向け部門」の各部門において、最も優れた作品を発表した漫画家に贈呈していたが、現在の漫画が世代や性別を超えて広く読まれる文化となっていることを鑑み、今年度より部門が廃止された。受賞者には正賞としてブロンズ像「みのり」(中野滋作)、副賞として100万円を授与。審査員はおのえりこ、恩田陸、川村元気、島本和彦、高瀬志帆、ブルボン小林、松本大洋が務めた。

(よろず〜ニュース・山本 鋼平)