鳥取県の米子市と大山町にまたがる弥生時代の集落遺跡「妻木晩田(むきばんだ)遺跡」を整備・公開している「むきばんだ史跡公園」で3月末、チョコレートの青銅鏡をつくるイベントが開かれた。この公園には、勾玉(まがたま)や石包丁づくり、さらには火おこしなど、子どもが「弥生時代」を楽しめるイベントがたくさんある。

 この日のイベントに参加したのは、家族で鳥取県境港市からやってきた田中佑征君(11)たち。まずは火おこし体験に挑戦した田中君。懸命な表情で道具を動かし、10分ほどで火おこしは成功した。

 次は施設内に移動し、チョコ青銅鏡づくりへ。材料こそちがうものの、溶かして、型に流し込むという鏡の作り方は同じことや、遺跡から発掘された青銅鏡が展示されている話を聞きながら、チョコを溶かし、型に流し込んでいた。

 春から小学6年になり、学校で日本の歴史の授業が始まるので、勉強をかねて妻木晩田遺跡を訪れたという田中君。「火をおこすのは疲れた。大変なんだな、と思った。チョコ青銅鏡づくりは楽しかった」と話した。

 弥生時代の終わりごろのムラの姿が分かる遺跡は、約170ヘクタールの面積があり、広さは国内最大規模。国の史跡にも指定されている。この遺跡を通して、地元の子どもたちに弥生時代の暮らしぶりや歴史に興味を持ってもらおうと、史跡公園では年間を通じてさまざまなイベントを開いている。

 土日祝日には、勾玉や石包丁などの弥生の物作りや火おこしが事前予約なしで体験でき、5〜11月の第1日曜日には発掘体験にも参加できる。さらに小学4〜6年生を対象にしたジュニア考古学教室なども開かれている。

 むきばんだ史跡公園の長尾かおりさん(45)は「妻木晩田遺跡が、地元の子どもたちが郷土に関心をもつきっかけになってほしいし、鳥取県にこんなすごい遺跡があることを知ってもらいたい。多くの子どもたちに、訪れてほしい」と話す。(渡辺翔太郎)