原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の選定につながる文献調査を求める請願を、佐賀県玄海町議会が採択した。佐賀県と同じく原発を抱える鹿児島県。関係する自治体はどう考えているのか。

 九州電力川内原発を抱える薩摩川内市。田中良二市長は、原発立地で国のエネルギー政策に協力してきた経緯を踏まえ、「高レベル放射性廃棄物の最終処分場まで受け入れる考えはない」との立場を議会で繰り返し表明している。

 2023年6月、市民の1人が、市内で最終処分場建設が可能かどうかを探る地質調査の実施を関係機関に要望するよう求める陳情を市議会に出した。市議会の特別委員会は、地質調査の前に文献調査の手続きがあることを指摘し、「文献調査の実施の可否を判断する段階ではない」などとして不採択にした。

 玄海町の動きについて田中市長に改めて考えを尋ねたところ、「コメントする立場にない。これまで述べてきた通り、最終処分場を受け入れる考えはない」と回答した。

 3年前の町長選で文献調査の是非が争点の一つになった南大隅町。石畑博町長は「文献調査を求めることはない。反対は公約であり、町民世論のほとんどが反対だ」と取材に答えた。

 2007年に最終処分場誘致の話が浮上したが反発が広がり、12年には原子力関連施設を拒否する条例を制定。ところが21年の町長選で再び原子力関連施設の誘致を掲げる新顔が立候補するなど、処分場誘致の問題で長年揺れてきた。

 町議会事務局によると、文献調査をめぐる陳情や請願は出されていない。松元勇治議長は「処分場のことは、町内でも議会でもまったく話題になっていない」。石畑町長は「沈静化しており、誘致反対として結論済みと考えている」と話す。

 しかし、玄海町の動きに警戒する声もある。ある南大隅町議は「文献調査を求める声が再び出てくることが心配。いまは落ち着いているので、町を二分するようなことはやめてほしい」と話した。(宮田富士男、仙崎信一)