イメージ画像

【関連記事】ピューリッツァー賞がアメリカの学生ジャーナリストを賞賛。イスラエルのガザ侵攻に反対する大学での抗議活動を報道

国際的な非政府・非営利組織の「国境なき記者団(RSF)」は5月3日、2024年の「報道の自由度ランキング」を発表した。

1位にノルウェー、2位にデンマーク、3位にスウェーデンがランクイン。日本は2023年から順位を下げ、70位だった。

RSFは、「世界全体的に政治指標が低下している」と指摘。「メディアの自主性に対する支持と尊重が憂慮すべきレベルで低下し、国家や他の政治主体からの圧力が増大している」と分析した。

また、RSFは「2023年10月以降、ジャーナリストとメディアに対する違反行為が相次いでいる」と指摘。イスラエル国防軍によって、100人以上のパレスチナ人記者が殺害されており、そのうち少なくとも22人は業務中に殺害されたという。

RSF編集ディレクターのアンヌ・ボカンデ氏は「国家やその他の政治勢力が報道の自由を守るために果たす役割が減少している」と警告した。

また、2024年は世界人口の半数以上が投票に行く「世界史上最大の選挙の年」だ。RSFは「ディープフェイクは現在、選挙の行方を左右する主要な位置を占めている」と指摘。偽情報などへの規制がない場合、生成AIが政治目的の偽情報の武器として使用される懸念があることを示した。

日本が70位に後退した理由は?

日本の報道の自由度は、2023年の68位から70位に順位を下げた。この順位は先進国が集まるG7で最下位、戦争中のウクライナ(61位)や近隣の韓国(62位)を下回る結果だ。

日本についてRSFは、新聞やテレビなどの従来のメディアが依然として大きな影響力を持っているとした上で、以下のように分析している。

「日本は議会制民主主義国家であり、メディアの自由と多元主義の原則は一般に尊重されている。しかし、伝統的な利害関係やビジネス上の利害関係、政治的圧力、男女間の不平等が、ジャーナリストが監視者としての役割を完全に果たすことをしばしば妨げている」

加えて、政府や企業が主要メディアの運営に日常的に圧力をかけていることや、2020年以降、政府が新型コロナウイルス対策を理由に、記者会見に招待するジャーナリストの数を削減したことなども指摘した。

また、記者クラブ制度の問題点も指摘。「既存の報道機関のみに記者会見や高官へのアクセスを許可しており、記者に自己検閲を促している。フリーランスや外国人記者に対するあからさまな差別に当たる」と批判している。