開幕からセ・リーグ5球団との対戦がひとまわり終わった時点で、4試合連続完封負けに同一カード3連敗が2度と、苦戦している今季のカープ。

特に西川龍馬がFA移籍した打線はチーム打率.217、本塁打2が12球団ワーストと、開幕前の不安材料がそのまま出た形になってしまっていますが(昨夜、16日は15安打11点で快勝)、ポジティブに、今回はここまでのいいところを探していきましょう(成績は全て4月15日現在)。

◆昨季日本一の阪神相手にカード勝ち越し、甲子園での連敗ストップ

開幕カードに負け越し、中日と巨人には3連敗のチームだが、東京ヤクルトに2勝0敗、阪神にも2勝1敗と勝ち越した。阪神は昨季9勝15敗1分と、セ・リーグ相手に唯一負け越したチーム。

9日の今季初対戦では0-1で敗れ、リーグワーストタイとなる4試合連続完封負けとなったが、10日の初回に37イニングぶりとなる得点を挙げると、この日は6得点で勝利。昨年から、クライマックスシリーズ ファイナルも含めた甲子園球場での連敗を11止めた。

翌日も先発した大瀬良大地が、7回無失点の好投など8回終了まで0-0の投手戦で、9回に田村俊介の値千金のタイムリーで勝利し、カード勝ち越しを決めた。阪神もまだ本調子ではないが、昨季2戦2敗だった伊藤将司を攻略し、投手陣は3試合でわずか3失点など、昨季のカモ状態からの脱却へ、明るい兆しも見えた3連戦となった。

◆大崩れのない先発投手陣

9日に九里亜蓮が自己ワーストタイの6回途中9失点という乱調もあったが、それ以外の試合では4月に入って全て3失点以内と投手陣は安定している。先発投手では、床田寛樹が2度の先発で7回無失点、7回1失点と2試合連続でハイクオリティ・スタート(7回以上を自責点2以内に抑えること)を記録。九里も開幕戦は7回3失点、続く中日戦も6回までノーヒットの投球で8回まで自責点ゼロの1失点と好投している。

その他、大瀬良大地も自身2度目の先発となった阪神戦で7回無失点、13日に今季初先発となった森下暢仁も自責点ゼロの6回1失点と、右肘手術の影響を感じさせない投球を見せた。問題なのが、前述した4人にいまだ勝ち星が付いていないという点で、2戦ともクオリティ・スタートではないアドゥワ誠が2連勝というのは皮肉な結果と言えそうだ(16日に床田が7回2失点で初勝利)。

◆復活気配の守護神、新戦力と台頭するリリーフ陣

昨季は不振で、一時は守護神の座を外された栗林良吏が、ここまで6試合に登板して3セーブ1ホールド、防御率0.00の好成績。与四球0、奪三振率13.50で打たれた安打は1本のみと絶対的守護神として復権しつつある。

昨季は栗林に代わるクローザーも務めたセットアッパーの矢崎拓也も、ここまで5試合に登板して2ホールド、防御率0.00。今季から腕を下げた投球フォームに変えた塹江敦哉もチームトップタイの7試合に登板して防御率0.00。左キラーのワンポイント起用など、様々なシチュエーションでの登板が期待される。

新戦力として、チーム2位タイの6試合登板で2ホールド、防御率0,00をマークしているのがプロ2年目の益田武尚。奪三振率10.13と三振が取れる投球で、2年目のブレイクが期待される右腕だ。

◆不振の打撃陣を支える『新井チルドレン』

新外国人2人が早々に離脱し、深刻な得点力不足に悩む打撃陣で、リーグトップの得点圏打率.667をマークしているのが野間峻祥。プロ10年目を迎えたリードオフマンが、得点源として存在感を発揮している。今季は出場11試合全てで1番に起用されており、10日の阪神戦では初回の二塁打から37イニングぶりの得点となるホームを踏み、続く第2打席では追加点となるタイムリーを放った。

西川龍馬が抜けた打線で、今季出場13試合で全て4番を任されているのが堂林翔太。本塁打0、3打点とクリーンアップとしては物足りない数字だが、打率.304とチーム唯一の3割打者となっている。野間も堂林も、新井貴浩監督が現役時代から目をかけた選手で、監督2年目で苦しむ指揮官を救うべく奮闘している。

文:大久保泰伸