「話す」って難しいですよね。対面で人と接する機会が増え、余計に話すことの難しさ、伝えることのもどかしさを痛感している人は多いのではないでしょうか。

話を一方通行で終わらせず、きちんと“伝わる”ように話すには? そのヒントを西任(にしと)暁子さんの著書『誰が聞いてもわかりやすい話し方』(三笠書房)より紹介します。

話は相手がいるから成立する。相手が「わかる」工夫を

なぜ相手に伝わらないのか、なぜ相手にわかってもらえないのか。前提として「話す」とは相手があって初めて成り立つということを意識する必要がありそうです。

西任さんは、話を相手が理解するには5つのステップがあると説いています。

<話し手>

1)何を話すか考える

2)考えたことを声にする

<聞き手>

3)声を聞く

4)聞いた音を頭の中で言葉に変換する

5)意味を考える

わかる!

(『誰が聞いてもわかりやすい話し方』28ページ)

つまり、相手に伝わる、相手がわかる話し方とは、これらのステップが滞ることなく流れていく話し方。

どうでしょう。2番目までの工程に必死になるばかりで、3〜5のことはあまり重視せずに話していませんか?

上記を踏まえて、もっとわかりやすくなる話し方を実践してみましょう。

話をもっとわかりやすくする3つのポイント

西任さんは、「話がもっとわかりやすくなるポイント」として以下の3つを挙げています。

1. 聞いてすぐに意味がわかる言葉を使う

相手は、聞いた音を頭の中で言葉に変換するという工程を踏まなければいけないのは先ほどご紹介したとおり。

そのため、難しい言葉よりも聞いてすぐわかる言葉を使うほうが効果的です。たとえば「視覚→目で見る」「悲報→悲しい知らせ」「分解→わける」といったイメージです。

また「A:救済措置がとられた→B:助けの手が入った」「A:再調査を実施した→B:さらに調べ直した」の場合、AとBではどちらのほうがわかりやすいでしょう。

誰にでも理解しやすいのは「B」ですね。このような言葉を西任さんは「丸い言葉」とし、「わかりやすいと感じる言葉には丸い言葉が多く使われている」と言っています。

2. 言葉の区切りに「間(ま)」を入れる

もし文章に句読点がなかったとしたら、とても読めたものではありません。これは話し言葉も同じ。もしかしたら、文章よりもさらに伝わりにくいかもしれません。

なぜなら漢字などのように目で見れば一瞬で言葉の意味を理解できる文章とは違い、話を聞く人は相手が発した1つずつの音を、言葉に変換しなければいけないからです。

そのため、文章を書くときと同じように「、」や「。」を意識して話すと、より相手にわかりやすく聞こえるそうです。

3. 声の「大きさ」「明るさ」「スピード」を変える

「話が単調だ」「聞いていると眠くなる」「飽きるから最後まで聞いていられない」

もし、こんなふうに言われたり、聞き手の態度からそう感じられたりしたら、「音の粒」で遊んでみましょう。

(『誰が聞いてもわかりやすい話し方』45ページ)

音の粒」とは、耳から聞こえてくる1つひとつの音をビーズのような「粒」として捉えたもの。「強調したい音は声を大きくしたり、ゆっくり言ったりすると、粒が大きくなる」と西任さん。

言われてみれば、話す内容ばかりに気をとられ、声の大きさや明るさ、スピードにまで意識が及んでいないかも…。

「やま」と「やま」では見た目の印象が違いますが、声も同じです。この記事も読者の皆さんに届けたい部分は太字にしているつもりですが、同じように「聞かせたい」「わかってほしい」と思うところには大きな声で話すようにしてみましょう


西任さんは、現在は話し方やコミュニケーションのスキルを教える立場にいますが、独立前はラジオDJとして活躍していました。

目の前にいない多くのリスナーに、物事を伝えて楽しんでもらうためにはどうしたらいいか。試行錯誤を経て身につけたノウハウが本書にはたくさん盛り込まれています。

まずは上記の3つのポイントから始めて、話すことがおもしろくなってきたら、ぜひ本書を手にとって「話し方」のさらなる高みを目指してみてください。

――2023年4月7日の記事を再編集のうえ、再掲しています。

相手の心を開き、いい関係性を作るコツ | ライフハッカー・ジャパン https://www.lifehacker.jp/article/2403-how-to-get-someone-to-tell-you-their-secrets-according/

たった10秒で心をつかむ!初対面の相手を説得する3つの方法 | ライフハッカー・ジャパン https://www.lifehacker.jp/article/2404_communication_based_on_psychology/

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Source: 三笠書房