1日あたり22.2万台の利用量

 東京圏には複数の環状線があり、東京外環自動車道(以下、外環道)は、都心から数えて3番目である。

 外環道は、都心から約15kmの圏域と環状線を結んでいる。都心からやや離れた地域を通っているが、交通量は比較的多く、2024年3月時点で1日あたり約22.2万台が利用している。この数字は、NEXCO東日本管内の路線では東北自動車道(以下、東北道)に次いで2番目に多い。

 NEXCO東日本管内には関越自動車道(以下、関越道)や常磐自動車道(以下、常磐道)など、総距離が200kmを超えるいわゆる長距離路線もあるが、外環道の総距離は2024年5月時点で約50kmと短い。しかし、交通量は多い。

 その主な理由は単純に近郊都市の人口が多いからだが、実はそれ以外にも、その利便性から外環道を利用する人は多い。仕事とプライベートで年間約6万kmを走る私(都野塚也、ドライブライター)も、大変お世話になっている。

 今回は、そんな外環道のさまざまな側面、魅力を解説する。なぜ多くの人を魅了してやまないのか。

外環道は走行しやすい設計になっている(画像:写真AC)

外環道の利便性の高さ

 外環道が便利な理由は、接続路線の多さにある。

 今の時代、高速道路網の発達は目覚ましく、個別路線よりも複数路線を利用する方が利便性は高まる。外環道の場合、首都高道路(以下、首都高)の路線に加え、

・関越道
・東北道
・常磐道
・京葉道路
・東関東自動車道(以下、東関道)

と接続している。接続本数が多いことに加え、そのほとんどが首都圏と各地域を結ぶ主要路線であるため、その重要性はさらに高い。

 また、都心から少し外れた地域間のアクセスにも便利である。外環道が通っている地域には、

・東京都練馬区(区部北西部)
・埼玉県川口市(県南東部)
・埼玉県三郷市(同)
・千葉県松戸市(県北西部)
・千葉県市川市(同)

などがあり、いずれも人口が多い。これらの都市間を行き来するために、多くの人たちが利用している。外環道はさまざまな利用目的を持つ人にとって使いやすい構造になっており、それが利便性を高めている。

外環道の三郷JCT(画像:写真AC)

迂回路としても利用可能

 外環道は接続が多いことから、迂回路として非常に便利である。私も何度か利用したことがあるが、助かることもあった。

 迂回は、主に首都高の渋滞を避けるために使うことができる。首都高は基本的に各路線とも交通量が多く、交通集中による自然渋滞が頻繁に発生する。また、事故や故障車による突然の渋滞や通行止めも起こりうる。

 そのような場合、外環道を利用すればスムーズに迂回することができる。環状線であるため、首都高を直接利用するよりも都心からの距離がロスすることが多いが、基本的に片側2車線であり、車線幅も首都高よりも広いため走りやすい。そのため、あえて外環道を優先するドライバーもいる。

外環道の新倉PAの位置(画像:OpenStreetMap)

唯一のPAにある特徴

 外環道には、休憩ポイントとなるサービスエリア、パーキングエリア(PA)が全線で1か所しかない。それが、和光北インターチェンジに併設された新倉PA(埼玉県和光市)だ。その重要度は高い。

 PAは内回り・外回り共用となっており、トイレや自動販売機のほか、24時間営業のローソンが併設されている。そして最大の特徴は、駐車場が内回り・外回り共用で、内回りと外回りを隔てる壁やポールがなく、Uターンが可能なことだ。

 これは日本では珍しい仕様である。通常の走行ではUターンする機会は少ないかもしれないが、例えば道を間違えてしまった場合や、単にドライブ目的で駐車場を利用している場合などには機会がある。

 さらに、新倉PAの敷地は外環道の本線下にある。そのため、多少の雨や雪は避けられるので、悪天候時の利用にも便利だ。

建設中の外環道の様子。三鷹市北野(画像:写真AC)

存在する未開通区間

 便利で利便性の高い外環道だが、実はまだ全線が開通していない。

「約35km」

が未開通で、関越道と東名高速道路(以下、東名)の接続部分の約16kmが現在工事中だ。

 区間がつながれば、NEXCO中日本が管轄する二大高速道路である東名と中央自動車道(以下、中央道)に直結し、開通時の利便性がさらに向上する。現在、工事が進められているが、さまざまな問題があり、開通はまだ先だが、工事の進捗(しんちょく)状況はウェブサイトで見られる。

 未開通区間がつながれば、都心から半径15km圏内の

「東名〜中央道〜関越道〜東北道〜常磐道〜京葉道路〜東関道」

が外環道1本でつながることになり、期待はかなり大きい。まずは現在開通している区間を走って、その便利さを実感してもらいたい。