新年度が始まってまだ1カ月ですが「理想とする仕事ではなかった」「自分に合った職場環境ではなかった」などさまざまな理由から、早期退職を選ぶ人も出てきています。厚生労働省によりますと、就職後1年以内に離職する人は高卒者で15.1%、大卒者で10.6%に上り、就職後3年以内では3割を超える数字となっています。この「退職」を巡っては「代行サービス」が注目されていて、ゴールデンウイーク明けから依頼が殺到しているということです。

社会人生活1カ月が過ぎた新入社員に、仕事について聞いてみました。

「(学生時代の友人が)1人、5月のゴールデンウイーク明けに辞めた。研修の内容が思っていたのと違って辞めたと聞いた」「(ゴールデンウイーク明けの仕事は)正直あまり行きたくない。社会人は大変だなと思いました」「友達は転職したいと4月の頭から言っていた」

入社わずか1カ月ですでに退職したという声も出る中、いま依頼が急増しているサービスがあります。退職の意思を本人に代わって雇用先へ伝える「退職代行」です。この「退職代行業務」の会社にはこの日だけでおよそ70件…。依頼する人たちは「自分で言い出すことができない」「雇用側とのもめ事を回避したい」などの理由から代行を利用しているといいます。

いま「退職代行」はSNSをはじめとした口コミなどで注目されていて、こちらの会社では退職を希望する人からの問い合わせが急増していて、1日300件ほどあるということです。

退職代行『モームリ』谷本慎二代表:「(大型連休があると依頼の件数は)激増しますね。連休明けに関しては、休んでいる時に会社の悪かったところがフラッシュバックして、もう行きたくないという気持ちになる人が多い印象」

ゴールデンウイーク期間中の依頼件数を見てみると、連休の谷間、そして連休が明けた7日の件数が急増していることが分かります。

谷本代表:「新入社員が約14%の依頼を頂いています。入社前と入社後で話が違うとかギャップがあるというので、依頼が多かった」

実際の相談内容を見てみると「目標というノルマがかなりつらく、休みの日でもスマホで仕事をしていて、とてもきつくてつらい」「チームプレーでの業務だと思っていたが、思ったよりも個人プレーだった。販売ノルマ達成のための競争が考えていたよりも強かった」などといった声が並びます。

売り手市場で働き手一人一人が自分らしく働ける環境を求める中、退職代行サービスが働き方改革の一端を担う存在になればと代表は話します。

谷本代表:「依頼者数はこのまま増加していく傾向があるかなと思っているが、退職代行が企業の抑止力になって企業の労務関係がよくなって、将来的には退職代行はなくなった方がいいと私は思っています」

<退職代行 どんなサービス?使う理由は?>

実際に、退職代行サービスの利用の流れを見てみます。まず、退職希望者は代行業者に悩み相談などもしつつ、退職代行の依頼を行います。それを受けた代行業者は企業に向けて依頼主の退職の意思を伝達した上で、退職するための方法を確認します。その際に必要な書類などは本人に送るよう伝えます。企業はこれを受けて退職届などの決められた書類があれば本人に送付し、それを送り返すことで退職が完了するという流れです。最後の書類の提出などは郵送など一方的なやりとりで済むので、実質的には会社と直接やりとりせずに退職ができるというサービスになっています。料金は、今回取材した代行業者『モームリ』では正社員や契約社員で2万2000円、パートやアルバイトで1万2000円となっています。

利用者はなぜ退職代行に依頼したのでしょうか。モームリを利用した人の声の中には「辞めたいが、言ったら上司に怒られるし、言う勇気がないから」「総務や人事の連絡先・連絡方法のアナウンスがなく、どのように退職手続きをすればいいか分からない」などの声がある一方で「たくさんお世話になり、良くしてくれたが、キャリアチェンジに挑戦したくなり、合わせる顔がなかった」という、会社に感謝するからこそ言いづらいという声もありました。人それぞれに利用する理由があるようで、退職代行の需要は今後も続きそうです。