北区は大規模改修を予定している区の施設について、資材費の高騰で費用が想定の2倍となる190億円に膨らむ見込みとなったとして、計画を見直すことを発表しました。都内では他にも改修が大幅に遅れる施設があり、物価高が再開発に影を落としています。

北区王子にある区内最大のコミュニティー施設「北とぴあ」。1990年のオープン以降、地域のシンボルとして親しまれてきましたが、完成から30年以上が経ち、老朽化が課題となっています。

記者:「ご覧ください、至る所で壁が剥がれ落ちています」

さらに、客席を備えた多目的ホールでは…

記者:「ひじかけの傷も多々あり、シートが縦に破けています」

施設の改修に向け、北区は来年から2年間をかけて改修工事を行う計画でした。しかし…

北区 山田区長:「これまででは令和7年と8年で大規模改修していく予定だったが、当初の100億円から約190億円まで見込みとして改修費が高騰している。建設資材の高騰などの影響を受けている」

区は2年前の改修計画の中で、外壁の補修工事やバリアフリー化の改修費を100億円と試算していました。しかし、建築資材費の高騰などでほぼ倍増の190億円に膨らむ見通しとなることが分かったとして、計画を白紙にすると発表。今後、改修の規模を縮小するなど計画の見直しを行います。

北区 山田区長:「変化が激しいので、そういったものに行政として臨機応変に対応していくという体質・体制を構築していくことが、とても必要だと私は思っている。先を読むのが難しいところだが、避けて通れない部分として、それを考慮した街づくりの検討、施設改修の検討をしっかりしていかなければいけない」

こうした資材費の高騰による計画の見直しは他にも…。

記者:「五反田にあるこちらの複合施設も、工事費高騰により改修計画が見直されることになりました」

品川区の大型複合施設・TOCビルは、老朽化により高層ビルに建て替えるため、3月末に閉館しましたが、施設を手がける株式会社TOCは資材費の高騰で計画を見直し、着工時期を9年後の2033年頃まで延期しました。これに伴い、すでに閉館している施設は9月ごろから営業が再開される予定です。

資材費の高騰による再開発への影響は今後も各地で表れてきそうです。