築地市場跡地の再開発を担う事業予定者が会見を開き、「築地の歴史を踏まえた街づくりに取り組む」と開発の方針を示しました。築地場外市場など地元との連携についても強調しています。

三井不動産 植田社長:「街から未来を変える「築地地区まちづくり事業」にしっかりと取り組んでまいる所存でございます」

会見では、一帯の開発や運営を担う三井不動産や読売新聞など3つの企業の社長らが、総事業費9000億円という国内最大級のプロジェクトについて開発方針を説明しました。

再開発の目玉となるのは最大約5万人を収容し、野球やサッカーなどの国際大会を行うことができるスタジアムの建設です。

記者:「読売巨人軍の本拠地にしたいと考えないのか」

読売新聞グループ本社 山口社長:「魅力あるスタジアムというのは当然私どもも使ってみたい気持ちはある。ただし、それを前提として企画提案してきたものでもありませんので、そのような予定で進んでいるということではない」

一方、再開発を巡り、築地場外市場の一部の関係者から出ている「客を奪われてしまうのではないか」という懸念については、場外市場も含めた地元との連携を積極的に進めていくと言及しました。

三井不動産 植田社長:「築地場外市場と連携し、日本が世界に誇る食文化や魅力を世界に発信するとともに、都民に開かれた誰もが気軽に訪れられる場所として、フードホールやフードラボを整備します」

また、築地の歴史と文化を守るため、祭りに活用できる広場を作る案も示されました。再開発エリアとの連携について、築地の街では…

よく築地に来る50代:「スポーツとかスタジアムのイベントに来る客で、新しい客層が来ることで、より活性化ができると思って、非常に期待しています」

築地で働く60代:「運河をうまく使うとか、新しい活用方法、空をどう使えるのかわからないが、新しい活用方法も出来てくれば、ほんとにいままでの繁華街にない新しい街になると思いますので楽しみです」

再開発によって場外市場にどんな影響が出るのか…都市政策に詳しい明治大学名誉教授の市川宏雄さんに伺いました。

明大 市川宏雄名誉教授:「今回の築地のプロジェクトは完全に未来型の都市を作るので、築地というのは現在と過去からきている街なので、場外がどういう形で変わっていくのかというのは非常に大きな意味があって、人々が何について喜ぶかを見ながら、場外も変わっていくのではという風に考える」

さらに5月1日の会見では、陸・海・空を結ぶ次世代型の交通拠点を作る計画の詳細も明らかとなりました。まず陸路では、一般車やバスなど多様な交通機能が乗り入れる交通広場が整備されるほか、東京駅と臨海部を結ぶ臨海地下鉄の新しい駅も配置されます。水路は、隅田川沿いに舟のネットワーク拠点が設置され、観光や通勤などに使われる船が行き来することになります。そして空は、実用化を見すえた「空飛ぶクルマ」を受け入れる発着場の整備が計画されています。

専門家はこうした交通拠点が実現することで、築地再開発の効果が他の街にも波及していくと指摘します。

明大 市川宏雄名誉教授:「今回の再開発は、2020年代後半から2030年代にかけてのこれからの東京の要になるということがまず一つ。なおかつ立地条件が重要で、北に日本で最も有名な銀座がある、南側はこれから2030年代に開発が進むベイエリアを持っている、その中間に位置している。ですから、築地の再開発がうまくいかないことには東京の発展もないし、うまくいけば東京の国際競争力も上がるし、色々なミッションが築地にある」

未来の東京の一大プロジェクトとなる築地の再開発…開業は2030年代前半が予定されています。