「腰がしんどいので、休むわけにはいきませんか」

 そんな“弱音”を吐くほど、腰の状態は限界に近いという。

 15日に行われた靖国神社奉納相撲。横綱照ノ富士(32)は2022年11月に生まれた長男の照務甚くんとともに、土俵入りを行った。

 愛息を前に相好を崩した横綱だが、関係者には冒頭の言葉を述べ、この日の土俵入りを辞退しようとしていたという。

 照ノ富士は腰のヘルニア持ち。3月場所も出場はしたものの、「腰に力が入らない」と7日目から休場した。土俵入りの際に締める白い「横綱」は数キロあり、化粧まわしと合わせると10キロ近い。そんな“重り”をつけて土俵入りするのだから、腰痛とヒザ痛で悩む照ノ富士が断りたくなるのも無理はない。

 そんな照ノ富士にとっての気がかりなのが、宮城野部屋勢の移籍だろう。宮城野親方(元横綱白鵬)とは犬猿の仲。互いに絡むことはなくとも、同じ場所にいるだけで険悪なムードになりかねない。

 ある親方は「照ノ富士も移籍には大反対だったそうですから」と、こう続ける。

「ただ、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)に『おまえに迷惑はかけないから』と説得され、『そこまで言うなら』と従った。照ノ富士は自身も13年に間垣部屋から移籍してきたので、移籍する力士の気持ちはよくわかる。白鵬との仲は確かに気になるが、今の照ノ富士は自分の調整だけでいっぱいいっぱい。自身が引退すれば横綱不在になってしまうため、体にムチを打って土俵に上がりながら、誰かが昇進してくるのを待っている現状です。もはや相撲内容うんぬんの問題ではない。その意味では白鵬がいたところで、さして影響はないと思いますが……」

 歯を食いしばって土俵を務める現役横綱の邪魔だけは勘弁だ。

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 白鵬の移籍先の伊勢ケ浜部屋に在籍する横綱・照ノ富士は、2017年に勃発した「大事件」によって白鵬との間にただならぬ因縁がある。いったい何があったのか。

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