ドジャースの大谷翔平(29)が5日(日本時間6日)、本拠地でのブレーブス戦に「2番・DH」で先発出場し、移籍初、昨年7月24日のタイガース戦以来となる9号2ラン&10号ソロの1試合2本塁打を放ち、5−1勝利に貢献した。4年連続の2桁本塁打で本塁打争いで両リーグトップタイに躍り出て、移籍後初の4安打もマークして打率も.364まで上昇し“首位打者”となった。

 もう大谷は一流のアスリートだけが味わうことのできるゾーンに入っているのだろう。
初回無死一塁の第1打席。1―2から、左腕マックス・フリードのカーブを捉えた。高々と上がった打球はバックスクリーンへ。2試合連続の9号先制2ランでスタートを切ると、3回の第2打席、6回の第3打席とヒットを重ね、3点リードの8回にまたスタジアムの度肝を抜いた。
この回先頭だった大谷は、2番手の左腕AJ.ミンターの初球の甘く入ったホームランボールを見逃さない。93.8マイル(約151キロ)を表示したフォーシームを弾き返した打球は、センターフィールド後方の広場の左手にある青いシートを遥かに越えていった。
打球速度は110.6マイル(約178キロ)、打球角度26度。飛距離464フィート(約141メートル)は、大谷の今季最長距離。これはエンゼルスのマイク・トラウトの144.1メートルに次ぐ今季のメジャー2番目の飛距離で、大谷自身も歴代3番目の飛距離。ちなみに大谷の過去最長弾は、エンゼルス時代の昨年6月30日のダイヤモンドバックス戦で放った150.2メートルだ。
ロサンゼルスタイムズ紙によると、デーブ・ロバーツ監督は、2本目の10号について左打者があそこまで打球を飛ばしたのを見たことがあるか?と聞かれ「ない、ない」と否定。
「彼は我々がかつて見たことのないことをやり続けている。真ん中の速球に対して、彼はとても良いスイングをした。あれは飛んだ。右打者であろうと左打者であろうとデーゲームだろうとナイトゲームだろうと、あそこにボールを飛ばす人間はいない。風は実際にレフトからライトへ押し返していたのに、彼はあそこまで到達させたんだ」
驚愕のコメントを残している。
また同紙によると、内野手のミゲル・ロハスは、「あそこまで飛ばすには自分であれば2回ボールを打たないといけないと思う。別次元のレベルのものだったのは確かだ。打線にショウヘイのような選手、あのようなことができる選手がいることはとても特別な事だ」というユニークな表現で大谷を称えている。ちなみにロハスはここまで今季2本塁打を記録している。
スポーツネットLAがアップしたインタビュー動画によると、大谷は「2本目はもう完璧でしたね。比較的真ん中の球をいいタイミングで振れていた」と自画自賛。
逆方向に本塁打を打てていることについて「いい動きで入れているのもそうですし、あそこにホームランが打てるという自信があれば、もっと他の球種に対してのアプローチも自信を持っていけるじゃないかと思う。いいサインかなと思います」との手応えを口にした。

 米メディアも絶賛の嵐だ。
MLB公式サイトは「ドジャースがこの冬に大谷と契約した時、彼らはとてつもない本塁打と、次の10年の間に彼がドジャースタジアムでもたらす決定的瞬間を夢見たのかもしれない。だからこそ彼らは、彼に歴史的な7億ドル(約1072億円)の契約の価値があると信じた」と書き出して、大谷の活躍を紹介した。同サイトによると、4打数4安打をマークした大谷は、この5試合で21打数11安打、3本塁打を放っているが、1901年以降で、最初の35試合で25本以上の長打を放ったドジャース初の選手になったという。
地元紙のオレンジカウンティレジスターは、「シーズン序盤には出遅れていたが、ドジャースが10年7億ドル(約1072億円)の契約で思い描いた大谷がやってきた。大谷は最初の8試合で本塁打がなかったが、その後の27試合で10本塁打としている」と評価。
大谷は、山本由伸が先発した1日のダイヤモンドバックス戦でスタメンを外れて休養を取り、翌日の2日は、チャリティイベントに参加して、2日連続で心身を休めた。同紙によると、ロバーツ監督は、「あの2日間は大きかったと思う。彼はこのシリーズで違う選手だった。彼にとってあのリセットは良かった」と発言。その2日間の休養効果が、本塁打、打率で両リーグトップに立つ爆発につながっていると考えているという。