ゴールデンウイーク期間中は、観光や帰省などで高速道路や自動車専用道路を利用する機会が増えると考えられます。そんな自動車道のある区間では事故が多発する「魔の区間」があります。どうして事故が多いのか、取材した記事を注意喚起のため再掲します。

事故多発、三陸道に「魔の区間」!?

国が「復興道路」として整備を進めた三陸自動車道。2021年12月に仙台市から青森県八戸市の結ぶ359キロが全線開通しました。東北沿岸部の大動脈として利用者が増える一方事故が多発してる区間があります。

中央車線に設置されているワイヤーロープに突っ込む1台の乗用車。これは、去年7月31日三陸自動車道登米IC付近で起きた事故です。

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道路を管理する国交省南三陸沿岸国道事務所によると、去年4月から7月までの4ヵ月間、三陸道で起きた事故による通行止め27回のうち、23回が桃生豊里ICから登米ICの間で起きているということです。

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南三陸沿岸国道事務所 岩渕賢一副所長:
「桃生津山から登米IC間が19回、豊里ICから津山間が4回ということで計23回、大半がこの区間で事故が起きている」

また、県警高速隊のまとめによると、去年1月から8月末までこの区間では、70件の事故があり、その内69件が物損事故でした。

事故を起こした運転手の証言は

宮城県警高速隊 目黒健也副隊長:
「運転手さんからは、前をよく見ていなかった、物を取ろうとした、車の中をみてしまったという話があります。ほとんどの交通事故が前方不注視というのが原因となっている」

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また、上下線で事故の件数を比べると、その多くは青森方面へ向かう「下り線」で起きていることが明らかになっています。

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まさに事故多発の「魔の区間」。なぜ、事故が多いのか…、実際に道路を走ってみます。

事故が多発する原因を探る

我妻優記者:
「桃生豊里ICを過ぎると車線が減少の文字が見えます。ここから一車線です」

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三陸道の下り線は、仙台港北ICから桃生豊里ICまでのおよそ53キロの間、片側2車線の道路が続きます。しかし、桃生豊里ICを過ぎると車線が初めて1車線に。実際には、既定の3.5mある道幅が狭く感じることも…。

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我妻優記者:
「運転していて圧迫感がある」

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その後、桃生津山ICから登米ICまでは見晴らしのいい一車線の道路が9.6キロが続きます。国交省や県警では、長く続いた2車線の道路が1車線になったことなどが、ドライバーの心理に影響を与えている可能性があると指摘します。

緊張感がとぎれる!?

宮城県警高速隊 目黒健也副隊長:
「直線に入りますので、比較的見通しのいい場所になり一定の緊張感がとぎれるのかなと思っている」

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この路線を何度も利用するドライバーに話を聞いてみました。

ドライバー:
「圧迫感は感じるかな乗ってて走っててね。道路が地震の影響なのか段差があるそれが」
「思った以上に気をつけてないと。狭くなっているという頭がないと、ちょっと景色とかみて結構迫っていたりするので、危ないと思って気を付けてはいます」

2021年12月に仙台市から青森県八戸市を結ぶ359キロが全線開通した三陸道。国交省は、コロナでの活動制限がなくなったことで遠方からの利用客が増えているのも事故増加の要因だと分析しています。

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南三陸沿岸国道事務所 岩渕賢一副所長:
「行動範囲が広くなった。全国各地から利用する人が増えている。交通量が増えていて事故が起きているかなと考えている」

では、事故を防ぐためにはどうしたらいいのか?

事故防止のランブルストリップスとは

国交省と県警では連携して、事故の啓発活動を行うほか、道路にも工夫を凝らしています。

南三陸沿岸国道事務所 岩渕賢一副所長:
「体感的な警告を与えるということで、ランブルストリップスを設置しています」

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対策として用いられているのがランブルストリップスという切削溝。中央車線側の路面をデコボコにし、その上を車が通過すると振動や音する仕組みになってます。

南三陸沿岸国道事務所 岩渕賢一副所長:
「ドライバーに振動で気づきを与えてハンドルを戻してもらう」

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これから冬にかけ路面の凍結などで事故の危険性が高まる季節となります。県警は「一瞬の油断が事故に繋がる」として緊張感を保った運転を心掛けてほしいと呼び掛けています。

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ランブルストリップスのほかセンターラインには、車線を狭くみせスピード抑制の効果があるとされるドットラインが設置されています。
事故の多い、この桃生豊里から登米ICの間は中央分離帯がなくワイヤーロープが設置されているため、対向車との正面衝突はなく、死亡事故を防げているということです。