国内家電で最大手のパナソニック ホールディングスが、家電のプライベートブランド(PB)向けの受託製造への参入を検討している。グループ内で家電事業を手がける、パナソニック社の宮地晋治執行役員が東洋経済の取材で明らかにした。

具体的な販売チャネルや参入時期は未定としているが、水面下で複数の小売店などに「ヒアリングをしている」(宮地氏)。パナソニックがこれまで苦手としてきた低価格帯で他社ブランドの受託製造を行い、国内市場での実質的なシェアを高めるのが狙いだ。

国内の家電市場は頭打ち

背景には、頭打ちとなっている国内家電市場の現状と、相次いで参入する中国系メーカーとの熾烈な価格競争がある。パナソニック社の堂埜茂副社長は「このまま放置しては危うい。価格競争から逃げず、競争体質にする」と危機感をあらわにする。

国内は人口減少に伴い、家電市場の成長は見込みづらい。新型コロナが蔓延した2020年度以降は巣ごもり需要により家電の販売が一時的に拡大したものの、その後は停滞している。パナソニックの家電部門も3期連続で減益に沈み、市場全体の閉塞感は明らかだ。