「ただ、ヨーロッパやアメリカは今すごく高くて、新人の給料だとハードルが高い。タイや韓国は安いが以前行ったこともあり、面白いところも見たのでしばらくは行きたくない。

それを踏まえると、日本が一番。理由の1つは円安でとてもお得感がある。本当のお金持ちは欧米、中東に行くけど、私たちにとって日本は海南島より安いし、手が届く海外なので行きたい。その次に文化。アニメはあまり見ないけれど、桜の投稿に引かれるし、なんか面白そうなので来てみたかった」

そうか。いつの間にか、日本は中国の若者の「憧れ」から「安くていい」観光地に変化してきたのだ。若者にファンになってもらい、リピートしてもらうのは何より重要だが、楽しみや訪日目的は毎回「ユニクロとコンビニのお菓子を買いたい」だけだと長続きしないであろう。

「日本はこんなに安くなっていいのか」

大の日本好き、今まで日本の地方を訪ね、さまざまな消費に貢献してきたB夫婦と4年ぶりに東京で再会した。自営業と金融の仕事をし、年収は少なくとも6000万円ある30代の家族だ。コロナ以来の日本なので、2週間にわたり、子どもを連れ、大阪、白川郷、京都、奈良、名古屋、鎌倉、軽井沢、東京の順で、行きたいところを再訪した。

一番お金を使ったところを聞くと、「もちろんUSJのマリオワールドだよ。3人で30万円のグッズを買っちゃった。その次に軽井沢のアウトレット。日本はこんな安くなっていいのか。心配になってきた」とつぶやいた。

その夫婦が結婚する際に、当初日本でもめずらしいハリーウィンストンの超高級リングを買ったのだが、「免税できるのはもちろん嬉しいよ。でもそれは、ほかの国でもできる。サービスがいい日本でおもてなしを楽しみたくて日本に来て買った」と教えてもらったことがある。では今回はどうか。

「物価が安すぎるし、慣れてしまったこともあってサービスは特にいいとは思わなくなった。6月にまた来るけど、ほかに買うものもないので、もう一度USJに行ってグッズを思い存分買うわ」と教えてくれた。