【感染症ニュース】(経験談)60代こめかみに感じた異変 帯状疱疹侮るなかれ ワクチンで予防を(再掲)

 帯状疱疹は、水痘-帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症します。

 水痘とは、「水ぼうそう」のことで、感染したことがある人は、治癒した後も、体内の神経節にウイルスが潜伏した状態が続きます。

 潜伏したウイルスは、加齢やストレス、疲労等による免疫力の低下で再活発化し、帯状疱疹を引き起こします。

 また、帯状疱疹の合併症の一つとして帯状疱疹後神経痛があり、発症頻度は年齢や症例定義、報告によって異なりますが、帯状疱疹患者の10-50%で生じるとされています。

 国内外の疫学調査において、壮年層における帯状疱疹では発症から3ヶ月以上持続する疼痛が10-20%に認められます。

 帯状疱疹は、特に50歳を境に発症率が急上昇するため注意が必要です。

 今回寄せられたのは、香川県の60代の方の経験談です。

 ※医師の診断あり

香川県・60代の経験談

 左顔面帯状疱疹になりました。

 2/4頃からこめかみを触ると痛みあり。どこかで、ぶつけたかな?と気にもせず。

 2/6朝、出勤後に発熱あり早退して市販の解熱剤を服用するも熱は下がらず。

 2/7朝、微熱もあり左まぶたが腫れたため内科受診するも虫刺されかな?と言われ他の病院に行くようにいわれる。

 2/8高熱と顔の腫れも酷くなり総合病院を受診。帯状疱疹と診断され、抗ヘルペスウイルス薬1週間分と解熱鎮痛剤を処方される。

 2/9左まぶたの腫れも少し酷くなったように感じ、夕方また発熱38.5℃。

 解熱鎮痛剤を服用すると夜には、下がったが左目の周辺は腫れたまま。

 昨日今日と抗ヘルペスウイルス薬は、きちんと服用しているのに…(涙)

 明日こそ少しでも改善される事を願っています。

感染症の専門医は…

 感染症の専門医で大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「帯状疱疹は、発疹が出る前にピリピリした痛みが先行して出ることが多く、その時点で、医療機関にかかっても、診断がくだせない場合があります。疾患が出現する部位は、脚や体幹など人によって違いますが、神経が集まる顔や頭部に現れた場合は、特に注意が必要です。今回のケースは、頭部やまぶたに症状が現れたとのことですが、髄膜炎や失明のおそれもあります。帯状疱疹は、皮膚の症状がおさまったあとも、長期間痛みが続く『帯状疱疹後神経痛』を発症する場合もあります。診断が遅れれば遅れるほど、長引く可能性もありますので、早めに受診し、治療するようにしてください」としています。

 帯状疱疹の症例調査「宮崎スタディ」によると、『発年齢別・性別の患者数については、男女とも10代に小さなピークがあり、20〜30代でやや下がるが、50代で急上昇し、60代で最も大きなピークがみられた』との結果が出ています。

どの世代も注意

 どの世代であっても、発症の可能性はあるので、年齢に関係なく注意が必要です。

 日本では、帯状疱疹を予防するワクチンが2種類あります。

 発症したとしても重症になることを予防できる効果と、発症そのものを予防できる効果もあると考えられています。

 どちらも50歳以上の方が対象となります。2016年3月に阪大微研が製造する『乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」』について、「50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防」に対する「効果・効能」が追加承認されました。接種回数は1回です。

 また、2018年3月には、帯状疱疹の予防のみを目的としたワクチン(シングリックスⓇ筋注用)が薬事承認されました。

 接種回数は2回で、接種間隔は1回目から2か月以上あけて、6か月以内に2回目を接種します。

 帯状疱疹予防としてのワクチンは、任意接種のワクチンとなりますので、接種費用は基本的に自費となります。

 しかし、自治体によっては一部助成しているところもありますので、お住まいの自治体へお問い合わせください。

参照:帯状疱疹症例調査「宮崎スタディ」
引用:厚生労働省「帯状疱疹ワクチン ファクトシート 平成29(2017)年2月10日 国立感染症研究所」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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