【MLB】ドジャース3−6パドレス(4月14日・日本時間15日/ロサンゼルス)

 公式戦の場において、投手がストライクが入らず打者に「ごめん」と謝ることが、プロの野球界にあるとは思わないだろう。そんな既成概念を覆してしまったのが、日本が世界に誇るスタープレーヤー、ドジャース・大谷翔平投手とパドレス・ダルビッシュ有投手だった。2度目となる直接対決。第2打席が終わった後、すれ違いざまにダルビッシュが大谷に謝罪したというシーンは、一気に国内の野球ファンに知れ渡る“名言”となった。

【映像】ダルビッシュが大谷に謝ったとされる瞬間

 今後も語れるだろう場面があったのは、3回2死、大谷の第2打席だ。ダルビッシュは初球、外角低めに狙ったスプリットが抜けて内角高めにボール。2球目はスイーパーで外角のボールゾーンから入れてくるバックドアを狙ったが、引っ掛けて内角低めに外れた。さらに3球目。捕手のミットは内角高め。縦変化でストライクを取ろうとしたカット気味のスライダーがまたも内角低めに外れて3ボールとなった。

 立ち上がりから雨水を含んだマウンドの緩さに苦労していたダルビッシュだけに、楽しみにしていた大谷との対戦で、うまくコントロールできないのはもどかしかったことだろう。4球目、ストライクゾーンを狙って投げ込んだスライダーは、またも引っ掛け気味になり、4球続けて内角低めのボールゾーンへ。ただ、ここはストライクが来るだろうと思っていた大谷も、強振に出て空振りとなった。5球目は一転、力を込めたストレートを選択すると、真ん中高めの甘いゾーンに入ったがこれはファウル。ドタバタしながらもフルカウントまでもつれ込んだ。

 決着したのは6球目。またも内角高めにミットを構える捕手に対して、ダルビッシュはスプリットと表示された球を外角へ。これに大谷はやや差し込まれる形になり、力のないサードフライに倒れた。

 話題となったのは、この後だ。一塁方向から三塁のベンチに向かって走って戻る大谷に対して、ダルビッシュはボールばかりで申し訳ないと謝ったと、インタビューで明かしたことが各種メディアでも報じられた。

 顔を見れば必ず挨拶、時間が許す限り野球談義に花を咲かせる間柄ではあるが、グラウンドに出れば真剣勝負。ただし、2人の勝負の楽しみ方は少し別次元だ。昨季44本塁打を放ち、本塁打王とMVPを獲得した大谷に対して、ボール球でも有効に使って抑えようとするのが普通の考え方。ところがダルビッシュは制球ミスとはいえ、ボールを連発してしまったことを謝った。これは逆にストライクゾーンでもベストボールを投げ込めば、十分に勝負できるという自信もあるのかもしれない。

 ドジャースとパドレスの試合はまだ5月、7月、9月と残しており、2人が直接対決する可能性も十分にある。打撃好調の大谷に対して、ダルビッシュはまだ本調子には遠い。今後、2人が互いに状態を高めてぶつかれば、今日以上にもっと見応えある勝負が展開される。
(ABEMA『SPORTSチャンネル』)