【MLB】ドジャース0−6ダイヤモンドバックス(5月22日・日本時間23日/ロサンゼルス)

 もうその打ち方は日米通算4367安打を放ったレジェンドにしか見えなくなってきた。ドジャース大谷翔平投手が「2番・DH」で先発出場。1回の第1打席に、先発の左腕ヒューズの投じた外角へのスライダーをあっさり流し打ち、レフト前へと弾き返した。この姿にMLB経験のあるOBたちが次々と「イチローさんみたい」と表現。メジャー全体トップの打率を誇るスイングを絶賛した。

【映像】サラリと打ち返す大谷の“脱力系流し打ち”

 この日、ABEMAの中継では岡島秀樹、岩隈久志とMLBのマウンドに立った2人の元投手が解説を務めていた。ともに世代としては、日米通じてヒットを打ちまくった歴史的選手、イチローと現役時代がかぶっている。ゆったりとした構えからそれほど力感なく、サッと振り抜いて打球を外野手の前まで運ぶシーンは、目に焼き付くほど見てきただろう。その2人が「イチローさんみたいな打ち方」と声を揃えたのが、大谷の第1打席だった。

 190センチを超える大きな身体を持ちつつ、器用でもある大谷。ファンとしては140メートル級の特大アーチを毎打席期待するところだが、状況に応じて異なるスイングもできるセンスがある。1回1死、相手が大谷、さらには3番フリーマンという左打者を抑えるためだけにオープナーとしてヒューズを先発に起用したことは、大谷も理解しているところ。強振してあっさり三振では、相手の監督の思うつぼだ。

 積極さも魅力の大谷は、初球から変化球を狙っていたわけではないだろうが、外角ぎりぎり見逃せばボールかというスライダーに対して、フルスイングして引っ掛けることなく、むしろボールの軌道に合わせるようにバットを運び、ライナーでレフト前へと運ぶ技ありの一打を見せた。これこそイチローが4367安打のうち、それなりの割合を占めるだろう流し打ちとそっくり。昨シーズン、初めてメジャーで打率3割を超えたとは思えない絶妙の一打だ。

 残りの3打席はフルスイングし、結果はセカンドゴロ、センターフライ、ファーストゴロ。4打数1安打に終わり、打率は若干下げたが、毎打席合わせるようなスイングをしていては、最大の魅力であるメジャー屈指の長打力が損なわれることになる。フルスイングなら今まで同様のパワー溢れる大谷、そして時には“デカいイチロー”のように打つ。ハイブリッドな打撃がシーズン通してできれば、自身初の首位打者も本当に手にできる。
(ABEMA『SPORTSチャンネル』)