「後輩から聞いたんだけど、最近の女子大生まじヤバい。MARCHや早慶でも就活辞めて夜職一本に振り切るケースが増えてるらしい。(中略)こんな世の中ハッキリ言って異常だよ…」

 先日話題になった、このポスト。キャバクラやラウンジ、ホストなどは華やかな一面がある世界だが、SNSには「早慶MARCHなんて実家太いのに信じられない。親泣かない?」「私は夜職だけど失うものが大きいよ。高学歴を無駄にしないで」「コスパ考えたら高学歴夜職でお金を稼いで起業するのがいいかも」など賛否の声があがっている。

【映像】いくら稼げる?“明大卒”キャバ嬢の収入&現在の家賃も

 もちろん職業の選択は自由だが、高学歴を投げ打ってまで夜職を選ぶ背景には何があるのか。『ABEMA Prime』で実際に転身した当事者を招き考えた。

■「20代で稼ぐ100万円と、30代40代の100万円は価値が全然違う」

 明治大学を卒業後、六本木のキャバクラで働いている荒地の魔女さん(23)。在学中からキャバクラのバイトをしており、「パーソナリティに合っている仕事だ」と感じていたという。「圧倒的な稼ぎと、経験値を得ることができるのが一番の理由。20代のうちに稼ぐ100万円と、30代40代になって稼ぐ100万円は価値が全然違う。20代のうちに圧倒的に稼いで、経験や自己投資にお金を使いたいと思った」と話す。

 これまでの収入は、地元の店舗だった19歳の新人時代は月30万円、六本木に移籍した21歳は月70万円で、ここでキャバ嬢を仕事にする覚悟ができたという。そして、今は月に200万円を稼ぐ。「時給は2万円ぐらいで、新卒社会人の10倍ぐらいの月収をもらっている」。

 そんな中感じたのは、夜職こそ高学歴が武器になるということ。「主に接客するのは社会的に成功した方々だ。会話をするにあたって、これまでに得た教養や知識は絶対に必要だし、頭は使っていると思う」と述べた。

 就職せずに夜職を続けることを家族に伝えた際、当初は反対されていたものの、「学費も生活費もぜんぶ自分で払うことや、親への仕送りもするということで説得した。“夜職は20代の期間しかできない”と認識しているので、商学部の知識を生かした国家資格を取るということも約束した」。その上で、「20代はこれで駆け抜けて、30代はまた違うことをやろうと考えている」とセカンドキャリアを見据えていることも明かした。

 ギャルタレントのあおちゃんぺは、「私もキャバクラを6年ぐらいやっていたが、高学歴の子はお金持ちにウケる。株や競馬の話、どういう人を好きかを分析して趣味を合わせたりできるからだ。大学在学中にバイト感覚でやって、一回就職してから“これしか稼げないんだ”ということで戻ってくるパターンが多い。そこで稼いだ後、起業したりする。ただそれは、高学歴で顔も良くないとできないという“勝ち組”なので、真似しようとは思わないほうがいい」との見方を示した。

■高学歴ゆえの「恥ずかしさ」「プライド」が葛藤の種に

 一方で、“こんなはずではなかった”と感じるケースもあるという。NPO法人World Open Heart理事長の阿部恭子氏は「著書の『高学歴難民』に主に書いたのは、四大以上で大学院に進学するが、新卒就職というルートを逃した人たち。時間とお金をかけたにも関わらず、それに見合った職や、難関の国家資格といった結果を得られず、定職につけないままさまよっている」と説明。

 ある有名大卒の40代女性は、20代後半から大学の非常勤講師と英会話教室をかけもちするも、月収は10万円程度。副業をするにも顔が知られており、スーパーやファーストフード店では働けず、密室で高収入、短時間のセックスワーカーを選んだという。中には、高学歴ゆえの「恥ずかしさ」「プライド」から、夜職に逃げ込む人もいるそうだ。

 阿部氏は「昼間は大学の教壇に立ち、何百人という学生の前で講義をしている世間体からか、ファストフードやスーパーでアルバイトをするわけにはいかないと。セックスワーカーの仕事をするようになり、塾なんかで稼ぐよりはお金がいいし、若いからこそできることでもあるという。また、(夜職をやっていた人が)定職に就いてからもなかなか抜け出せない人がいる」とする。

 これにあおちゃんぺも同意し、「生活していけるだけのお金を昼職でもらえないために、掛け持ちしている子もわりといる。保育士が風俗をやって処分されたニュースがあったが、ある程度の賃金をもらえていればやらずに済んだかもしれない。そういう問題も絡んでいるのではないか」と述べた。

 では、夜職を選ぶのは学歴の無駄なのか。あおちゃんぺは「恵まれていない人がするべき仕事なのか?普通の社会で働こうが、夜の世界で働こうが、きちんと納税していれば貢献しているじゃないか。私はそれでいいと思う」との考えを示す。

 阿部氏は「基本的には、学歴をどう使おうが個人の自由だと思う」とし、「私の世代はバリバリの学歴社会で大学に行くのが当然だったが、今学歴社会は崩壊に向かっていると言われている。価値観が急に変わって、ついていけない人もたくさんいるわけだ。結局、その後の実績を出さないと社会では通用しないし、学歴だけで止まってしまっている方もたくさんいる」とした。(『ABEMA Prime』より)