和歌山県のJA紀南管内で、全国的なブランド梅「南高」の収穫が始まっている。今年は暖冬の影響などから不作で、同JAは当初、前年の7割の市場販売を計画していたが、下回る見込みという。
 管内の梅農家数は約2200戸で面積は約2200ヘクタールあり、そのうち主力の南高は約1900ヘクタール。南高は大粒で皮が薄く、果肉が厚くて柔らかいのが特徴。梅ジュースや梅酒向けの青梅としても、梅干し用の漬け梅としても適している。
 JA紀南は23日から荷受けを始め、27日から市場販売している。今年は冬の高温で不完全な花が多かった上、ひょうやカメムシの被害も出ている。
 南高は6月末ごろまでの販売で、計画では前年比7割の1750トンとしていたが、到達は厳しい見込み。先に収穫が始まった小梅でも現時点で、市場販売量は前年比2割程度。市場価格は平年より高くなっているという。
 田辺市稲成町の寄本裕貴さん(40)は約1・5ヘクタールで梅を栽培している。27日も雨が降る中、家族やアルバイトの人と手際よく実をもぎ取っていった。
 寄本さんは南高の収穫量は平年の半分を下回る見込みで、ひょうやカメムシの被害もあるといい「これまで経験したことがない凶作。ひょうの傷は味には問題がないので、貴重な実をぜひ買ってジュースや梅酒にして味わってほしい」と話した。