朝から晩まで楽しみの尽きない京都さんぽ。往々にしてランチとディナーは事前に考えていくものの、合間の休憩は行き当たりばったりになりがち。見渡せば何かしら入れそうな店の見つかる街中や名所の近くは混雑必至だし、住宅街なら何も見つからずさまようことになる。あてもなく歩くのも楽しいけれど、せっかくならひとやすみできる場所が頭に入っていると安心。本誌連載「&Kyoto」の「京都さんぽ部」部長で、現地在住ライター、コーディネーターの大和まこさんが、モーニング、昼の食休み、おやつ時、夕方の0軒目、夜喫茶の5つのシーンでひとやすみアドレスを教えてくれました。

『保存食ラボ』の新展開『パルメラ』。
自家製のパンも魅力的な岡崎『マチ』。

夕方、通し営業のワイン処でひとやすみ。

 ワイン系昼飲みの店が、すっかり定番となった近頃。ここ1年ほどを振り返っても新店が次々できて、使い勝手のよさを日々実感している。

 2023年10月に登場したのは、北大路『パルメラ』と河原町今出川『イル ランポ』。『保存食ラボ』の新業態である『パルメラ』は、保存食から料理に軸足を広げ、ワインに合う食事をジャンルレスに提案する。かつて河原町三条で人気を誇ったイタリアンバルが、場所とスタイルを変えて戻ってきたのが『イル ランポ』。町家を改装した落ち着いた空間での乾杯が待っている。

 さらに遡って7月にオープンしたのは冷泉通『マチ』だ。疏水沿いの明るい日差しのもと、自家製パンとワインを12時からというスタイル。

 今ではすっかり馴染んだナチュラルワインを「15年以上前から好きで」という松浦優喜さんが営む『エプロン』は3月に仁王門川端に現れた。ワインを説明してくれる松浦さんの言葉に想像が膨らみ、どれも飲みたくなる。こちらは15時から営業。 ’22年、五条木屋町にできた『ドゥージィエムメゾン』はビストロ料理とワインに、花も買って帰れる店。

 オープンから5年以上が経ち、すでに風格を漂わせるのは四条寺町の『エカキ』と、三条商店街から下がる『ローヌ』。紹介できなかった店もまだあり、早めからのワインがすっかり街に溶け込んでいるようだ。

パルメラ
椎茸フライと生ハムなど料理名だけで心くすぐる。なみなみ注がれるワインもいい。京都市左京区下鴨貴船町48 075‒741‒7259 11時〜18時日月休 月に一度は22時までの夜営業も。

マチ
パンとワインとアテがテーマ。野菜を使ったメニューも充実。パンやサンドイッチはテイクアウトも可能。京都市左京区聖護院東寺領町8‒1 075‒606‒4589 12時〜19時 水木休

イル ランポ
広島から届く無農薬ベビーリーフを使った薄皮パンのサンド、ピアディーニで遅めの朝食という使い方も。京都市上京区栄町358‒1 075‒754‒8091 9時30分〜17時 水木休ほか不定休

エプロン
季節野菜のソテー ピスタチオソースなど料理にも個性が表れる。京都市左京区仁王門通川端通東入ル孫橋町18‒4 075‒600‒9200 15時〜22時30分(22時LO) 水、第1・3火休

ドゥージィエムメゾン
ヴィンテージ雑貨や花に彩られた空間。チェリーパイやタルトにワインを組み合わせてもおいしい。京都市下京区寺町通り五条上る西橋詰町794 050‒3350‒5877 12時〜23時 水休

ローヌ
ワインと珈琲を掲げ、ワインからのアプローチでも喫茶づかいでも満足度は高い。京都市中京区三条猪熊町645‒1 075‒821‒2310 14時〜22時最終入店(土日祝12時〜) 木休ほか不定休

エカキ
気軽に立ち寄れる立地も魅力の四条寺町。塩梅のいいワインと料理を。京都市下京区貞安前之町611‒3 なし 15時〜22時 不定休 営業の詳細・問い合わせはInstagramのDMで。


「京都さんぽ部」部長、ライター、コーディネーター。 大和 まこ

「京都さんぽ部」部長。ライター、コーディネーター。京都暮らしも、もはや25年目に。連載「&Kyoto」は2022年に100回目を迎えて継続中。京都の景色や、食べたもの、買ったものをInstagram()で発信している。

&Premium No. 124 Kyoto Solo Trip / やっぱり、ひとりでも京都。

京都の街を巡り歩くとき、なぜこんなにも心が浮き立つのでしょうか。風情ある神社仏閣や庭、精緻な工芸品を扱う店や美しい佇まいの町家に出合ったかと思えば、そのすぐそばには個性的なコーヒーショップや書店、ギャラリーや生活道具の新店が。長い歴史の中で脈々と息づいてきた伝統と、新しいカルチャー、そして〝ふだんの表情〞を、さらりと共存させる街、京都。今号は、ひとりでも楽しめる京都、そして、ひとりだからこそさらに楽しい京都を案内します。

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