ワールドレディスサロンパス杯第2日

 女子ゴルフの国内メジャー・ワールドレディスサロンパス杯は3日、茨城GC東C(6665ヤード、パー72)で第2日が行われた。25位で出た石田可南子(フリー)は、2バーディー、6ボギーの76で回って通算4オーバー。カットライン上の52位で予選を通過した。昨年11月、9度目の受験でプロテストに合格。今月6日に30歳になるルーキーは、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)会員になれた喜びを感じつつ、そこを目指す苦労人たちの「希望」になることを誓った。

 最終9番パー5。石田は80センチのパーパットを沈め、苦笑いした。午後スタートの選手を残したその時点では68位だったからだ。

「カットラインは3オーバーだと思って、最後はバーディーを狙っていました。う〜ん、どうなるんでしょうか」

 インを回った前半は2バーディーでトップ10入りもしていた。だが、グリーンが硬くなってきたアウトの後半は2番から5番まで4連続ボギー。7番、8番もボギーとして一気に順位を落とした。

「タフでした。ボギーが止まらくなってしまって……」

 だが、1万人を超える大ギャラリーを前にプレーできること、JLPGA会員としてメジャー大会に出場できている喜びは噛みしめていた。

「これまでも予選会を通過して日本女子オープンは3度出場していますが、正会員のプロとしてのメジャー大会出場は気分が全然違います。今日はスタート前に同期(合格者)が『頑張ってください』と言って送り出してくれました」

 今大会、昨年度のプロテスト合格者が裏方として大会運営を支える「ルーキーキャンプ」を行っている。だが、石田は昨年のツアー最終予選会(QT)53位の資格で出場。前々週のフジサンケイレディスに続き、今季2度目のレギュラーツアー出場となった。

「ルーキーキャンプも大事な経験ですが、やっぱり、出られる試合には出たいですから」

合格率3%の難関プロテストに29歳で合格「何度も心が折れて…」

 言葉には実感がこもっていた。11歳でクラブを握り、ゴルフ部のある大阪学院大高に進んでプロを目指したが、テストは失敗の連続。トーナメント単年登録でプロになり、下部のステップ・アップ・ツアーには2017年に11試合、18年には16試合に出場した。だが、19年のツアー規定改定で単年登録制が廃止。プロテストに合格し、JLPGA会員にならなければツアーには原則出られなくなった。そして、石田は同年の最終プロテストで1打届かずの不合格となった。

「最終ホールでバーディーなら合格でした。7、8メートルは残っていましたが、カップの右に外れた場面は今でも忘れられません。正直言って、その後にも何度も心か折れて諦めそうになりましたが、30歳まで続けてみようとは思っていました」

 昨今、プロテストの受験者は600人を超えている。そして、1次、2次予選で振り落とされ、最終プロテストの20位タイまでしか合格できない。合格率は約3%の超難関。断念した仲間も数多いが、石田は29歳にして合格した。だからこそ、壁に阻まれ続けている挑戦者たちに向けて言った。

「今のプロテストに合格する人たちは、すぐに通用すると思います。そして、たくさんの試合が待っています。9度目で合格した私が結果を残すことは、諦めずに合格を目指しているみんなの希望にもなると思いますし、もっと頑張っていきたいです」

 全選手がホールアウトし、石田は52位で決勝ラウンドに進出した。メルセデス・ランキングのポイントが高いメジャー大会ゆえに、残り2日で順位を上げていけば、リランキングで後半戦の出場獲得も視野に入ってくる。

「今年はステップ・アップ・ツアーにも出られますが、このままレギュラーツアーに出続けたいです」

 ようやく手にした権利。石田は「20代最後の日」と重なる大会最終日を笑顔で終え、希望に満ちた30代を迎えるつもりだ。

(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)