北海道函館市が実現可能性を探る北海道新幹線のJR函館駅への乗り入れについて、JR北海道の綿貫泰之社長は17日の定例記者会見で、「現時点では乗り入れ可能とは思っていない」と述べた。市がコンサルタント会社に委託した調査で、173億〜186億円(税込み)とされた整備費に車両費が計上されていないことや技術的な裏付けが検討されていないことを理由に挙げた。

 綿貫社長は、「報道で『乗り入れ可能』という文字が躍って、独り歩きしている印象を受ける」とした上で、「車両の負担をどうするか、営業主体がどうなっていくのかがはっきりしないかぎり、乗り入れが可能とは思わない」と指摘。「当社として事業主体にはなり得ない」とも言及し、営業赤字を出すなど厳しい経営状況を踏まえ「新たな赤字、新たな負担に我々が応じることはできない」との考えを示した。

 一方、この日の函館市議会総務常任委員会では新幹線問題が議題となり、車両費や整備の財源などの質問が相次いだ。

 市側は「JRや三セクなどが車両を保有するケースが考えられるため、車両費は含めていない」と説明し、「今後、関係機関から意見を聞き検討していく」とした。財源については「調査結果を分析した上で、事業のスキームや財源などを検討する」と述べるにとどめた。(野田一郎、新田哲史)