原材料価格の高騰や高止まりが続くガソリン代に電気代。賃上げで人件費も上がる。こうしたコスト上昇分を、取引先や消費者に「価格転嫁」できているか、それとも「自腹」を切っているのか。全国の価格転嫁率は大阪府が3位だった一方、京都府は38位。そこから見えるのは――。

 民間信用調査会社・帝国データバンク大阪支社が2月に調査した。価格転嫁率は、コスト上昇分を販売価格に転嫁できた割合のこと。同社が一定のルールに基づき、はじき出した。近畿4520社を対象に実施し、1876社から回答を得た。回答率は41・5%。

 「県民性も要因の一つかもしれませんね」。調査結果をまとめた同社情報部の昌子拓也さんが、近畿6府県の価格転嫁率を比較してつぶやいた。

 近畿6府県で最も高かったのは大阪の45・1%。京都は最も低い37・4%に沈んだ。京都ではコストが100円上昇した場合に37・4円しか販売価格に反映できず、残りの62・6円を企業側が負担したことを示す。

 大阪の場合、回答企業に製造業が多く、原材料の仕入れ価格の上昇などは「証拠として示すのが比較的容易。大阪人気質からしてもビジネスライクに値上げをお願いしやすい面があるかも」と昌子さんは分析する。

 一方、京都では回答企業に観光業などのサービス業が多い。人件費など目に見えにくいコスト上昇分について、一般消費者の理解を得にくいと考える企業が多いという。自身も「京都人」という昌子さんは、京都企業ならではの事情も挙げる。「老舗が多く、取引先との付き合いも古い。負担増をお願いするのは心苦しいと遠慮する企業が多いのではないか」

 ほかの4県の価格転嫁率は滋賀41・4%(全国18位)、兵庫40・1%(22位)、和歌山40・0%(24位)、奈良39・6%(26位)と続いた。(日比野容子)