総務省が10日に発表した3月の家計調査によると、2人以上の世帯が使ったお金は31万8713円で、物価の影響を除いた実質では前年同月より1.2%減った。減少は13カ月連続。物価の上昇によって収入が目減りした世帯が、節約を続けているとみられる。

 品目別で減少が目立つのは、電気代・ガス代、香典や祝儀などの贈与金、ホテルなどの宿泊料、国内パック旅行費だ。逆に増加したのは、自動車の購入費、離れて暮らす家族への仕送り金、外食費など。前年と比べるとコロナ禍が収まって在宅勤務が減っていることから、鉄道やバスの定期代も伸びた。

 一方、勤労者世帯に限れば、使ったお金は前年同月より実質1.0%増えた。増加は13カ月ぶり。世帯主の収入は減少が続いているが、配偶者の収入は2カ月連続で伸びており、買い物を増やす一因になった可能性がある。総務省の担当者は、前年に比べて土・日曜が2日多く、外出の機会が増えたことも影響したとみており、「消費が増加の基調に転じたとは、まだ判断できない」という。(内藤尚志)