小林製薬の製品による健康被害に関する報道をめぐり、読売新聞は17日夕刊で、小林製薬の取引先企業の談話を捏造(ねつぞう)していたと報じた。読売新聞は「重大な記者倫理違反」として、関係する記者を処分する方針を明らかにした。

 問題の記事は6日夕刊に掲載されたもので、小林製薬の紅麴(こうじ)を原料に使った企業の社長の発言として「突然、『危険性がある』と言われて驚いた」「補償について小林製薬から明確な連絡はなく、早く説明してほしい」と報じた。

 読売新聞によると、これらの発言は、原稿のとりまとめをした大阪本社社会部主任(48)が捏造したものだったという。取材にあたった岡山支局記者(53)は、社長の発言内容と異なることを認識しながら、修正や削除を求めなかった。

 主任は捏造した理由について「岡山支局から届いた原稿のトーンが、自分がイメージしていたものと違った」と説明。支局記者は「社会部が求めるトーンに合わせたいと思った」と話しているという。

 読売新聞は17日夕刊で読者に謝罪。主任ら関係する記者を処分し、上司の監督責任も問う方針を明らかにした。

 読売新聞は当初、8日夕刊で、社長の発言を削除する訂正記事を掲載し、「確認が不十分でした」と説明していたが、発言していなかった事実が示されておらず、この訂正記事にも問題があったとしている。

 読売新聞は「信頼回復のため、記者教育をさらに徹底し再発防止に取り組みます」とした。