東京電力福島第一原発の処理水について、東電は19日午前、5回目となる海への放出を始めたと発表した。今年度最初で、タンクにためた水約7800トンを海水で希釈しながら放出する。順調に進めば来月7日に完了する。

 放出予定のタンクにためた水を東電が分析した結果、トリチウム以外の放射性物質の濃度はいずれも国の放出基準を下回った。民間の分析機関と日本原子力研究開発機構の測定結果も同様だったという。除去できないトリチウムの濃度についても、原子力規制委員会が認可した計画で定める1リットルあたり1500ベクレル(法令基準の40分の1)を下回るよう海水で希釈しながら放出する。

 処理水の海洋放出は昨年8月に始まった。昨年度は4回に分け、タンクの水約3万1200トン分を放出。今年度は7回にわけて計約5万4600トン分を放出する予定という。東電や政府などは、原発周辺海域の海水に含まれるトリチウム濃度のモニタリングを続けているが、これまでに異常な値は検出されていない。(矢田文)