口演童話家で「日本のアンデルセン」と呼ばれた久留島武彦(1874〜1960)の生誕150年記念として、出身地の大分県玖珠町にあるJR豊後森駅前に「子どもたちと武彦」のモニュメントが完成し、久留島の誕生日にあたる19日に除幕式があった。子どもたちに向き合い、語り聞かせる久留島の姿を表現している。

 玖珠町の有志が制作委員会を発足させ、寄付を募るなどして建立した。等身大のブロンズ像で、別府市在住の彫刻家・原田裕明さん(71)が写真を基に制作。小学生をイメージした3人の子どもは正座と体操座りで、「真剣にお話を聞いている様子が伝わるように」表現したという。

 碑には久留島が残した「一人では何も出来ない しかし一人が始めなければ何も出来ない」という言葉を刻んだ。除幕式では85歳の頃の張りのある肉声が流された。宿利政和町長は「町にまた新たなシンボルができた」とあいさつ。同委員会顧問の原孝彰さん(76)は「功績をたたえながら町の活性化につなげたい」と話した。

 この日午後からは同町の久留島武彦記念館で生誕祭があり、町内の園児約90人が訪れた。子どもたちは「久留島先生、お誕生日おめでとう!」と声を合わせ、人形劇や童謡、口演童話を楽しんだ。(貞松慎二郎)